宴会といえば、モリタ君はよく歌わされていた。ヘタだった。間の取り方が悪く、彼が歌うとちぐはぐな歌になり、大爆笑になった。歌い終わったあと「モリタ君、歌うまいやん。歌手になれるよ」などと声がかかると、「それほどでも」と気障な笑みを浮かべていた。自分ではうまいと思っており、歌に関してはかなりのプライドを持っていたようだ。