恐れが多い。 |
急に大きな音がしたとき。大きな声がしたとき。
誰でも驚くのが普通だと思う。
でも私は昔から、その時一緒にいる人たちよりも驚きが強かった。
大きな声を出したり、大きなジェスチャーをしたりはしない。
身体を硬直させて、固まってしまう。
女性らしく、きゃーとかいう声も出ない。
派手な動きは無いが、自分の中では本当にすごくすごくびっくりしている。
瞬間的にめまいがしたり、たとえそれがなんでもなくてただの物音だったとしても、
その直後に吐き気がしたり、不安感が大きくなって気分が悪くなったりする。
なんでそんなに自分が驚きやすいんだろうとか、なんで不安になったりするんだろうと考えていた。
普通に、音にびっくりしているだけならこんな事にはならないはず。
まだ、これが理由だ!っていうのははっきり分からないけど、
昔から、大きな音は私にとっては『攻撃』だった。
その恐怖が、普段の物音にも関係しているんだと思う。
ものすごい大きな音ではなくても、周りの人が出すちょっとした音にもビビっている私がいる。
母は、機嫌が悪かったり私に腹が立っていたりするとイライラして、
何をするにも大きな音を立てた。
それも、私には直接何も言わないで。
私が自分の部屋にいても、母が台所で出す大きな音が聞こえてくる。
お茶碗を、乱暴に洗ってガチャガチャいわせたり、食器棚の戸を、勢いよく閉めたり。
それは、
『私は怒っているのよ。それはあなたのせいなの。何も言わなくても気付きなさい。』
という母からの無言のプレッシャーだった。
昔の私は、その音が聞こえると恐る恐る母の元へ行き、ご機嫌伺いをするのだった。
または、その波が過ぎ去るまで部屋でじっとしている。
でも、いつ母が私の部屋へやってきていきなり戸を開け、
怒鳴りだすかもしれないという恐怖に怯えていた。
母の足音が近づいてきたりすると、どきっとして緊張が走った。
私にとって大きな音は、相手の怒りを感じるものであり、
自分の安全を脅かすものなのだった。
何にでも恐怖を感じやすいこの性格は、
恐怖を感じさせられてきたことによって、植え付けられたものなのかもしれない。
|
2003年06月03日(火)
|
|