2003年06月02日(月) |
幽玄の世界へようこそ♪ |
今日、京都平安神宮の薪能を見に行きました♪ 私が行ったのは2日目。 『土蜘蛛』がどーしても見たかったもので♪(一日目の日曜日は太鼓の先生が出てたんだけど、劇の稽古で行けなかったのさ〜)
開演よりちょっと遅れたので、『泰山府君』は途中からだったけど、あとはばっちり見られました♪ 一日目は、結構小雨がぱらついたりしていたらしいけど、2日目の今日はこれでもかっ!ってな位晴れていて、平安神宮にしつらえられた野外舞台はほんと、良い風情でしたよ〜♪ すごく広い広場で、その周囲には高い木がないので、空が広い広い!しかも空気が澄んでいて、とてもキレイな空でした♪(晴れてた分昼間は暑かったけど、夕方から冷えるのも早かった…マジ寒かった!)
舞台の周囲に用意された薪に火が入れられ、その後が仕舞「西行桜」と「鞍馬天狗」。 そして、夕焼けの朱色が、次第に宵闇の青から紺へと彩りを変えて行く頃、半能(まぁ、能のダイジェスト版といったトコ)『野宮』(ののみや)。 これがねー、もうめちゃめちゃ、まさに!「幽玄の世界」だったんですよ〜!! ストーリーは、「源氏物語」よりなんですが、この主人公は、「葵上」で生き霊となって狂うので有名な六条御息所。しかしここではそんな狂う彼女ではなく、その後のストーリーが、旅の僧が立ち寄る際にくりひろげられるのです。 源氏への恋に自らを知らぬ間に生霊(←「いきすだま」と読んだほうがしっくりくるんだけどね)になってしまう自分を恥じ、悲しんで、この上は源氏との恋をあきらめ、伊勢へ斎宮として向かう娘とともに都を去ろうと決めるのです。そして斎宮が潔斎のために籠もる「野宮」へと向かいます。 一時は御息所を恐れた源氏も、いざ彼女が都を離れるとなると、恋をし、文を交わした頃がなつかしく、その野宮に御息所を訪ねます。その源氏の訪れを嬉しく思いながらも、恋した頃を懐かしく思いながらも、やはりこの恋は終わりにしてしまった方がよいのだと……御息所の切ない決意と想いを、旅の僧の目の前で、御息所の残留思念ともいうべきやさしくはかない霊が、その様子をしめやかに舞うのです。 ……これがねー。 夕焼けの朱色が、次第に宵闇の青から紺へと彩りを変えて行く空の色の中、浮かび上がるようにはかなげな御息所の霊が舞い、そのゆるやかな動きは人間のそれとは思えぬほどで……薪の燃える白い煙がうすくたなびき、舞台をけぶらせ、聞こえる笛の音もやさしく……ええ、本当に、美しかったです。 不思議ですね。面は、いつも同じ表情の筈なのに、うつむく仕種、寄せる手の動きかざす扇の角度……それによって、御息所がどこを見、何を想うのかが、伝わってくるようなのです。 有名なのは、『葵上』かもしんないけど、ストーリー知った上だったら、『野宮』も絶対良いですよー!
…さて、その幽玄能にうっとりした後は、狂言『菌(くさびら)』(キノコのことさ)。……さすがというか……大笑いしました。やっぱ、狂言って、何も知らない人でも親しみやすいし面白い。子方の子が、ちっちゃいキノコを演じてましてねー♪もう、その可愛らしさにノックアウト!途中で転んじゃったけど、それもご愛嬌♪ あああ、子方、マジちっちゃい!!可愛い!! 今度子方が出てくる能が見たいなぁ。『鞍馬天狗』なんか良さそうだなぁ♪
そして、ラストが『土蜘蛛』!! 能にしては珍しく演出が派手な能で、ストーリーも簡単!何言ってるか分からなくても、大体理解できます。(間の狂言で説明するしね)要はバケモノ蜘蛛退治物語☆。前半、蜘蛛は僧に化けて武者を襲うのですが、正体がバレて逃げだします。そいでもって、武者は追っ手をさしむけ、そこで3人の武者と蜘蛛とのバトルが始まるのです。 何と行っても、見所は蜘蛛の糸!! ものすご〜く!キレイに広がるんですよ!! そして、これは流派によるんですが、その蜘蛛の糸をこれでもかとばかりに舞台に投げ、舞台はみるみるうちに蜘蛛の糸でいっぱいになってしまうのです。(一番派手なのは金剛流。知人曰く、「投げすぎや」だそうで。私が今回見たのは観世流。比較的おとなしめなのが宝生流。) まさしく圧巻!!噂には聞いていたけど、生で見たことがなくって、それでこの薪能の2日目にあると聞いて行ったのですが、来て良かった……!見て良かった……!サイコー!!!
能の初心者でも大丈夫!面白いし、きれい!迫力もあります!はじめて見るなら、『土蜘蛛』がおすすめかな?
久しぶりの能を、しっかり堪能しまくった平でしたvv
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