近所ににわとりを飼っている家があった。
飲み明かした朝、 白みはじめた空をみながら とぼとぼと 帰り道。
コッケコッコー!
朝をつげるその一声で 気分がさらに滅入ったものだ。
しかし。 ここ数日。 空が白みはじめていようが、 太陽の光がさそうが、 にわとりがなかなくなったのだ。
なかなかったら なかなかったで なんだか淋しい。 朝帰りのわたしを 自己嫌悪に陥れるあの声は 実はなくてはならなかったもののように 感じてくる。
気になって気になって、 どうしたものかとみにいったら、 家が売りにだされているではないか!
いつもはげ頭のおっちゃんが 玄関で煙草をすっていた。
上半身はだかで煙草をすう ぽてぽての白い腹が もうみられないではないか!
なにか大切なものを失ったような やるせない気持ちになったのでした。
時はながれるし、 歳はとるし、 わたしのまわりは 容赦なく 変化しつづけているのだなあ。
それで早速。
きょうから ちょんすけに コッケコッコーを インプット中。
性能の悪い録音再生機のような ちょんすけ。
ごめんね ちょんすけ。
ちょんすけは 人間の都合でいいようにかわれているペットで、 わたしは自己中に愛情をおしつけている人間。
でも ちょんすけは結構 しあわせだとおもうよ。
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