ちょんすけは いままで箪笥のうえが 定位置だった。
しかし、 箪笥がなくなったために 重ねた段ボールの上に かごをおくことになったのである。

今までと場所は同じでも 高さも違うし、 風景がかわったのだろう。 一日3回はしていた 大好きな水浴びを しなくなってしまったのである。
デリケートちょんすけ。 略してデリちょん。
飼い主に似るとはよくいったものだ。 ちょんすけをみていると、 小さなころの自分をおもいだしてしまった。
わたしは小さいころ 滅多にのらない電車にのったり、 なれない他人の家にいったり、 いつもと違う環境にいくとなると、 だまりこんで顔が青白くなり 突然おおあばれしたりして、 親をこまらせていたのである。
その慣れないものにたいする 緊張のし方が良く似ている。
先日も、雑貨屋で偶然、 「小鳥の大好きブランコ」 なる商品をみつけて、 ちょんすけにかってあげたのである。
ところが、 カゴの中にブランコをセットしてから ちょんすけはパニック状態におちいり、 ひとしきりあばれまわったとおもったら、 今度はカゴの片隅でじっとしはじめたのである。
ブランコをじっとみたまま固まっている。
じきに慣れるだろう。 なんせ「小鳥の大好きブランコ」だもの。 とおもっていたら 2時間たってものまずくわずで 同じ体勢なのである。
ショック死かとおもって 心配したほどだ。
ブランコをカゴからだすと、 やっと緊張がとけて ちょんちょんと餌をたべはじめた。
もう、 不憫というよりも、 情けなくなってしまう。
ブランコだって、 ぜんぜん小鳥大好きじゃないではないか。
でも、 わたしだって おおきくなったら ひとりで電車にのれるようになったし、 飛行機にものれるようになったし、 他人の家にもあそびにいけるようになったのだよ。
ちょんすけはまだ6ヶ月なのだし、 今後の成長に期待だ。
きょうもちょんすけは 水浴びをする気配なく、 ほーほーほーほへひょとないている。
いじらしいなぁ…。
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