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 縛られた男/イルゼ・アイヒンガー

ドイツ現代文学作家の12の作品を収めた短編集。彼女はカフカに似ていると言われているが、本人はカフカを読んだことがないらしい。作品はどれも不条理な世界で、妙な事にスポットをあて、独特の思考で話が展開していく。

例えば表題作の「縛られた男」は、どうしてだかわからないが、気がついたら縛られていて、そのままほどいてくれる人もなく、サーカスに入団し、有名になるという話。最後にそのロープをほどいた結果は・・・?

「私が住んでいる場所」では、引っ越したわけではないのに、なぜか昨日から一階下に住んでいるという男の話。

「鏡物語」では、墓に埋葬される場面から、生まれる前まで、人生を逆戻りしていく。

などなどシリアスなものもあれば、笑ってしまいそうなのもある。日本の作家で例えたら、星新一のショート・ショートといった趣で、最後にえっ!と思わせる。

ただ全ての作品にひとつ共通していることがあるとすれば、「死」である。どの作品も、生死について考えなければ、読めないものだ。わざわざ考えなくとも、嫌でも死を感じる。


2002年03月09日(土)
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