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■ 永遠の王(上)/T.H.ホワイト
1)サトクリフオリジナルのシリーズに続き、2作目のアーサー王物語。こちらはアーサー(ウォート)をはじめ、ガウェインなどの円卓の騎士の子ども時代も描かれている。
もともと児童向けなのだろうが、翻訳のせいなのか、いささかマンガチックでドタバタしているのにとまどう。私の中でアーサー王物語は、「高潔で勇気のある立派な騎士のカッコイイ話」というイメージなので、なかなかこのマンガチックなアーサー王になじむのは至難の業。ホワイトはかなり変わり者らしいので、それを考慮に入れたとしても、今のところはサトクリフに軍配が上がる。
登場人物にもそれぞれホワイト独特の味付けがしてあるので、基本のアーサー王物語を知っていないと、ホワイトの世界に流されてしまうかも。できればごくノーマルなアーサー王物語を読んでから、この本を読んだほうがいいように思う。それくらい強烈。
2)第一部の「石にささった剣」を読み終える。なるほど、アーサー王物語をベースに、作家ホワイトの興味ある事柄を存分に盛り込んだ話ということか。途中で、子どもの頃に持っていたディズニーの絵本『王さまの剣』を徐々に思い出して、これが原作だったのかと納得。思い出した箇所は、ウォートとマーリンが魚になるところ。 いよいよ第二部では、私の好きな騎士ガウェインが登場。もっとも子ども時代の話なので、ここではあまり期待はしていないが、ガウェインの真面目で忠実な性格はどのように育まれたのか、ホワイト流の解釈を楽しみたい。
3)やっと読了! ここでこの本をどうこう言うのはまだ早すぎると思うが(下巻もまた600ページ近くあるので)、よく言えば盛りだくさん、悪く言えば散漫な印象。つまりアーサー王のここが知りたい!と思った時には非常に不便な本。あちこちに場面が移動するのは別に気にはならないが、その都度ホワイトの趣味の世界に引きずり込まれるようで、こういったことの好きな人なら面白いと思うが、簡潔に物事を知りたい向きにはどうだろう?
例えばサー・グラモアとサー・パロミディスが、ペリノア王が追いかけているクエスティング・ビーストの仮装をするというくだりで、ノンセンスな会話が11ページも続いたりして、なるほどこれじゃ本が分厚くなるわけだと納得する次第。
そんな話の中に、徐々にパーシヴァルやランスロットという名前も見えてくる。この先の話への準備というわけか。最後にアーサー王の出生の秘密も明かされ、そしてまた姉モルゴースとアーサーの関係など、徐々に物語の核心に近づきつつあるといった感じ。
そして時間を逆に生きるというマーリン、なぜそんな設定にしたのかと思っていたら、現代のことを過去に盛り込むために、マーリンは現代から過去へと生きているというような描き方になったようだ。占いや魔法を使って予言をするのではなく、実際に生きて見てきたことをアーサーに話すというわけだ。このあたりを真面目に考えていると、頭がいたくなるので、ふーんと流しておいたほうがよさそう。
また、マーリンの魔法で様々な生き物に変身したウォート少年だが、その意図は、全て人生における哲学を教えるためであり、またマーリンの語る言葉には、ホワイトの「戦争反対」という考えが十二分に盛り込まれている。これを若きアーサー王に滔々と語るところは、ホワイト自らが語っているのと同様だろう。
2002年05月26日(日)
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