すいたバスに乗る時は、決まって最後尾の中央へ行く。
さっかという生命体の習性である。
今日もどてんと中央をのっとったさっか。
さっか偉い。(←勘違い)
私のためにバスが走る。(←知覚障害)
しかしこの席、降車ボタンが遠くて困る。
複雑疲労中でとても面倒だったさっかは、
「誰かが押すといいなぁ」、などと考えていた。
その時、前の座席の少女が一人、母親を見て言った。
「ここ?」
うん。
さっか、母より早くうなずく。
「うん」
母親もうなずいた。
一件落着。
もしもその時、さっかを見ていた人がいたら、
大あくびの直後に突然、力強くうなずいた私を、
とても疲れていかれた人だと思ったことでしょう。