unsteady diary
riko



 プロジェクトX(宗谷発進)

ひっそり日記だけ。
トップの履歴にも書かないから、気づかない人も多くなりそうですね。
相変わらず、姑息な管理人です。

サイトのほうをしばらく留守にしております。
せっかく書いてくださったものにもレスをつけられずにいますが、
どうかご了承ください。


ただ、メモっておいてあとで更新しようと思ったことが、
なんだかいろいろたまってゆくので、
ここを臨時気まぐれメモにしちゃうことにしようかと。
なんていいかげんなサイト落ち宣言…。(苦笑)


プロジェクトXを久しぶりに見ることができました。
「運命の船・宗谷発進」と題され、南極探検隊派遣への挑戦を取り扱ったものでした。
のちにオーロラの研究者で探検隊に参加した知り合いがいるせいか、
南極には特別な憧れがあります。

ああ、なんてすごいんだろう。
人間ってほんとすごい。

人間一人の出来ることはそう多くはないけれど、
連動するなら、怪物みたいに、すごいことができるイキモノ。

昭和30年ごろといったら、終戦して間もないころ。
敗戦国であるために、犠牲を「良い戦争」(アメリカでは公的な記憶として第二次世界大戦のことをこう呼んでいる)という記憶で消すことさえできない日本は、国際的にも、縮こまっていた時代。
復興に向けて動いてはいても、なにかが足りない。
それは夢、誇り、そういうもの。

南極へ行きたいと政府にかけあった永田(のちに隊長となる)という研究者は
最初まったく相手にされず、しまいには変人扱いされたといいます。
諦めかけた頃、ある朝日新聞記者が彼に賛同してマスコミが動きだし、全国で募金活動がおこりました。
募金しにきたのは、なんと小銭を握り締めた子供たちが多かったそうです。
その想い、わかる気がしました。

夢がないと、ほかにどんなに満たされていたって、あたたかくないですよね。
そういえば、話はずれますが、歳末助け合い募金も、終戦当時の誰もが貧しかった頃がもっとも集金額が多かったようです。誰もが同じ危機感を共有していた、他人を感じる想像力があった、ということなのかもしれません。
南極に関しても、もちろん自分は行けないのだけれども、自分の国の誰かが、南極という遠いところに行く。
そこにはペンギンっていうイキモノがいて、すごいところで、アジアでは日本しか行ったことがないんだ!
そういう同じ夢をみんなが見たのでした。

あとは、職人の心意気もすごい。
風力発電機をつくって、やる気まんまんで協力を申し出たというホンダの創始者とか、ソニーの創始者とか…。
といっても、当時は大会社だったわけではなく、イメージづくりにお金を出すって状況だったわけじゃありません。
ただただ、自分に協力できる分野があるならと喜んで動く。
ある事業の“歯車”になるということの、否定的でない側面をはっきりと見た気がしました。
実現に向けてムリでも何でもやってのける人、ほんとうのシゴト人
なんてかっこいいんだろう。

敗戦国だから、アジアだから、後進国だから…
そうやって馬鹿にされることへの反発から動いたという意味では、
根底にあるのは、第二次世界大戦に派生した日本のナショナリズムだと指摘することはできるでしょう。
実際、宗谷の改修をまかされた職人たちも、
「お国の一大事だ!」という一念のもと、集ってやりとげたようですが。
ただ、ナショナリズムの功罪ということにふれないまでも、
宗谷のプロジェクトは、プライドの大切さ、喰えない夢こそ拠り所になるってことを教えてくれる気がします。

もっとも、プライドのために、教科書を変えるどっかの会のように、
侵略はなかったことだと主張するようなことは、はっきりいって
バカだと思いますが…。

P.S

「想像力が大切」っていうフレーズは、どこの論説員でも言ってることではありますね。
それを自覚しつつも言ってしまうなら、
やっぱりどこぞのゴルフしていた首相さんは、
あまりに想像力が足りないんじゃないでしょうか。
これはもう、専門的知識があるかないか、とか、
政治的駆け引きが上手いかどうかとか、
慎重かどうかとか、そんなことじゃないでしょう。
ただひたすら、想像力がなさすぎる。
まあ彼がホットラインすること以外できることはそうはなかったでしょうから、
ただ連絡を待っているだけなら、目の前にゴルフ場があるのだから、
ゴルフやろうがやるまいが、現状は違わないじゃないかという彼の主張は
合理的ではあるかもしれません。
ただ、合理的かどうか、というだけが人間の行動の主軸じゃないんです。

「南極へ日本の探検隊を!」という企画は、けっして利益の出るものじゃありませんでした。
だから、当初金を出せん、と言われたのはある意味自然なこと。
でも、そういうふうに、一見無駄に見えるかもしれないことでも、
心を支えるという意味で、すごく大きな役割のある行動というものは、
あるはずです。
たとえば彼が、ほんの少しでも人間味のあるところを、国民を守りたいという気概を見せて、中心に立ったなら、それで関係者たち、まわりの対応に追われる職員たちも、救われたり、奮い立つという面はなかったんでしょうか。

ああ、ほんとうに信じられない。
どんなに専門的なことがわからなくても、
IT革命といいながら、ピッチのひとつもわからないでも、
なんでもいいから、
せめて血の通ってるところくらい、みせてほしかった…。

(メモおわり)


2001年02月13日(火)
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