unsteady diary
riko



 My Way

昔のFMを録音していたMDを手当たり次第かけていたら、
1999年末の21世紀に伝えたい100曲をカウントダウンする企画で、フランク・シナトラのMy Wayが入ってた。
久しぶりに聴いた。
独特なうたい方は賛否両論あるだろうが、歌詞がしみじみしててけっこう好きな曲だ。

フランク・シナトラがまだ元気だった頃に、3大テナーの競演と称された豪華なコンサートがアメリカであって。
彼も招かれてて、VIP席にいたの。
そのシナトラの前で、3人がこの曲を歌った。
今でも思い出す。
ホセ・カレーラス(3人のなかでは一番好きなテノール歌手)が
とりわけ情感たっぷりに歌い上げていた。
この人は、名声をほしいままにしていた時代に白血病を患い、そこからもう一度這い上がったという強い人で、だからこそこの曲への思いは深かったんだろう。
カレーラスの声は、全盛期ほどではないし、
奇跡のテノールと称されるパヴァロッティと比べれば、技術的には劣ってしまうのだろうけど、感性という点で言えば、彼のうたい方はとにかくずば抜けていた。
表情もなんと豊かだったこと。

老いたシナトラは、しわくちゃの額に手を上げて、じっと感慨深げに聴き入っていた。
人生の最後を自分が歌った名曲が、自分に対して尊敬をこめて捧げられる、ふしぎな感じだったんだろうね。
しまいには涙ぐんでいたっけ。

シナトラが亡くなってけっこう経つけど、いまだにあのときの歌が忘れられない。
シナトラのMy Wayじゃなくて、
私にとっては、3人の歌として、よみがえる。


余談だけど、My Wayはシド・ヴィシャスのカバーヴァージョンもあるんだよねー。
イントロだけシナトラの真似を大仰にやってみせて、
そこから崩しまくり。
宇宙の彼方までイっちゃってて、けっこう好き。
名曲ってイジられやすいよなあ、としみじみ同情するアレンジになっている。


2001年03月14日(水)
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