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■ 春なのに…
普段は口紅なんかしない私だけど、就職メイクではナチュラルメイクって訳にもいかないので、朝塗ったらペットボトルでお茶を飲んだって落ちないという、噂の口紅を買った。 だが。 肌は丈夫な私だけど、唇だけは荒れやすく。 落ちにくいということは、それだけ皮膚の細胞に張り付く糊みたいなもので、 それはもう、塗った瞬間からひりひり、びりびり。 ボンドを皮膚に塗ったら、突っ張ったような感じだ。 しかも。 確かに色素は落ちないのだが、 私の場合、皮膚ごと剥がれ落ちるのだ。(苦笑)
メイク道具は、嫌いじゃない。 努力して少しでもマシになるなら、とメイクを始めて以来、 ただ純粋に、お絵かきする気分で、好きになった。 自分じゃ限界もあるが、 キャンパスが綺麗だと、俄然張り切って、友人の顔をいじったりもする。 でも人のための化粧は嫌いだ。 人のためのおしゃれも。
自分のために、自分のしたいことをする。 もちろん、周りの人を不快にさせないことも大切だけど。
皆同じ服、同じ髪型でいなくちゃならない中学に、ほとほと嫌気が差して。 制服の無い高校を選んだ。 制服があったほうが、おしゃれがヘタでお金も無い自分をゴマかせたのかもしれないけれど、その高校は皆がそれぞれに個性的で、とにかく楽しそうだったから。 そういう過ごし方を選んだんだった。
すっかり春なのに。 春色の洋服を来て、出かけることはない。 買ったきり一度も着てない白いジャケット、淡い緑のスカート。 お気に入りのベージュの靴も、最近はずっと仕舞ったまま。 その代わり、ずっと黒い靴と、似合わなくて嫌気の指す、灰色のスーツを着ている。 社会人ファッションなんて、憂鬱をそのまま色にしたみたい。
オレンジの口紅じゃダメだと、誰が決めるの? なぜストレートじゃなきゃいけないのよ?
そういえば、以前友人がこんなことを言ってた。 ストレートの髪のほうが異性受け(オヤジも異性だ)するのは、 なにも手を加えていない、生まれたままで美人だと確信できるからだそうだ。 つまり、手を加えることは許されないってこと。 素材が悪いと、終わりなわけね〜? なーんか、死刑宣告みたいなんですけど。
というような心理を反映してか、オヤジ受けするルックスは、 ストレートのほんのり明るい程度の髪に、 レッドかピンク系の口紅、それからブラウン系の軽いアイシャドウ。 マスカラはばれないように、もとの睫毛が長いかのように見せる。 指先はベージュかピンクのマニキュア。 世の中ではこのように決まっているらしい。
私は、ピンクよりはオレンジのほうが似合うと思う。 黒より紺より、モスグリーンが似合うと思う。 そして。 ストレートよりは軽いウェーブの髪のほうが、 なんとなく自分らしいとも思う。
でも…。
まわりは皆、急に髪を染めた。 メイクががらりと変わり、別人のようだった。 私は茶髪は好きじゃないので、とれかけのパーマだけが問題だったのだけど。 なにをいきがってるの、と言われた。 就職が決まったらこっちのもの、また戻せばいいじゃない、と。
それは別に、外見だけの問題じゃなくて。 性格とか言葉とか、そういう全てを就職用に「切り替え」ることについて、ちょっとひっかかるだけ。
だってさ。 以前の自分を、否定するみたいじゃない? 誇りを持って、金髪でもなんでも、してきたんじゃないの? 恥じることの無い自分がいるなら、 それを簡単に捨ててしまえることじたいが、不思議だったりする。
って、全部自分への言葉、だね。 きっとそう。 切り替えようともがいてる、かっこ悪い自分への。
それでも、ちょっぴり反抗してみた。 落ちない某口紅の色は、パールの効いた明るいオレンジベージュを選んだ。 レッドかピンクが鉄則と言われてるのにね。 青みピンクがCMでは使われていて、「面接で使うかも…」と相談したら、一番人気のそれを薦められたのだけど。 私は私らしい色を選んだ。 (ちょっと派手かもしれない…それは突っ込まないで。(笑))
いいんだ、このくらいは歯向かってみよう。
2001年03月17日(土)
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