unsteady diary
riko



 その1名誉欲  その2「スピード」

うっかり母に大学の就職組の友人の話をしていて、
彼女は出版だけじゃなく、大手広告も受けてるんだよ、ともらしてしまったら。
母がため息混じりに。

「なんでアンタだけ…。」

これじゃ大学受験のときと同じじゃないか。
やれ、親戚のだれだれさんが、すでにあそこ受かっただの、
なのにおまえはどうするんだ、だの。
推薦入試を受けなかった私は、それより前に発表された推薦の合格の話を
いっぱい聞かされて、弱りこんでたのに。

私だって、そりゃ自分が情けないとは思うよ。
でも、しょうがないじゃない。
ゼミの研究分野によっても、当然志望は違ってくるんだし。
なにより私は、仕事における自分の価値に、モーレツに自信がないんだよ。

で、また喧嘩だ。


近いうちに家に来るように、と祖父に呼び出されている。
最初は見守ってくれてたはずが、
どうにも我慢ができなくなってきたみたい。
祖父が金融に携わっていたので、いろいろ教わりに来いと言われているのだけど、
おそらくは、祖母あたりが出てきて、お説教になるんだろう。
そして言われる決り文句。
「英語に伝統のある某女子大のほうへ行っておけば、いまごろ就職できてたのに」
私が私である限り、どっちみち就職なんて厳しいに決まってるとは思うけど。
私が、英語嫌いだし女子大だけは勘弁して、と祖父母絶賛のそこを蹴って共学へ行った事を、未だに根に持ってるからなあ。
私が失敗すれば必ず、親や祖父母の言葉に逆らったから、
それ見たことか、となるわけだ。

がんじがらめ。
私は向けられる言葉を無視できない。
私のなかにも根付いている偏見とか、名誉欲とか。
意識しないつもりでいても、こうしてことあるごとに言われるとミジメになるのは、私自身が気にしてるからだ。
けっきょく、本質は同じなんだ。
嫌ってる部分が、そのまま私のなかにもある。




―その2―

以下は、映画「スピード」を見たことのない人にはまったく意味不明な内容となっています。しかもその1とは別人格のようにミーハーです。気をつけてね。


「スピード」の紹介をミル姉さん(c.笑う犬の冒険)がやってる〜。
こういう遊び心って好きー。
映画評論家だけが映画を語る資格があるわけじゃないと思うの。
だから、純粋に映画が好きな人が紹介をしたら、映画がより身近に感じられるんじゃないかな。

キアヌ…某所で某おねえさまが好きって言ってらしたなあと思いながら
じっと観察。
うん、確かにエキゾチックでかわいい!
この人は、短髪のほうが幼さと色っぽさが同居してて好き。
「ディアボロス」より「スピード」のほうがいいなあ。
どこ見てるんだと言われそうな邪なコメントだわね。(笑)
サンドラ・ブロックの役どころが男前でツボでした。
さりげなく助かってて欲しいなと思ったのは、ハリーという名の同僚さん。
脇役好みの私は、ブレーンとして出てくるクセのある脇役で、ちょっとモノグサそうな、でもけっきょく面倒見のよいタイプが好きなのだ。
正義のために熱くなる主人公を、微妙にエゴイスティックなこと言いながら止めてみるけど、けっきょく折れて、手を貸しちゃうような役どころ。
ひねくれた性格の人が好きなのか?(笑)>自分

ただ気になったのは、バスを死守したところまではミラクルで通るかもしれないけど、その後地下鉄で脱線までさせても、主人公ふたりが生きてるのはどうよ?

ええと、地下鉄のなかで、犯人は死んだのだけど、
サンドラ・ブロック演じるアニーが手錠で柱に固定されちゃってるのね。
で、電車のブレーキは壊れてて、線路は途中が工事中で、脱出するしかないのに、アニーは脱出もできないわけ。
で、キアヌ演じるジャックは、アニーを見捨てられず、一緒にイチかバチかの賭けに出る。つまり、途中脱線させて、それで助かろうとするわけなんだけど。

その場にナイフでもあったら、もしかしたら手首を切る選択もあったかもしれないと私は思う。
彼を死なせず、しかも一緒に生きたかったら、たぶん。
「タイタニック」の1シーン、ジャックの手錠を切るために、ローズが斧を思いっきり振り下ろしたときの表情が思い出された。
身体を傷つけてでも助かるのと、傷物になるのを怖れて死ぬのと、
どっちの選択を選ぶべきなんだろうな。
正解はないし、映画のなかでは無傷で助かってるから、この「if」自体が意味の無いものだけど。

それと、地下鉄の工事中だったので、工事要員を轢きそうになってるし。
ちょっとご都合主義な匂いが。
そりゃ主人公カップルに死なれたらかっこつかないのは分かるけど、
営団の脱線事故の悲惨さや、工事中の職員の死亡事故なんかが頭をよぎって。
もし関係者が見ていたとしたら、フクザツだろうなと思わずにはいられなかった。

しばらく前のこと、某テレビ局で「ゴジラ」の放送が決定されてたんだけど、あの原子力潜水艦の衝突事故の影響で中止されたの。
それを思い出した。
映画では、命は台本の思うままだから、大切な人物は助けて、話を進めるためなら容赦なく人を殺すけど、
現実は、ぎりぎりに間に合ったり、10分の1の確率で助かったりはしない。
カーチェイスだって、考えてみたらまわりの車が犠牲になるよね。
アレだって、交通事故経験者なら、すごく心臓に悪いだろうな。
あ、でも映画として見るだけなら、
「ザ・チェイス」(チャーリー・シーンが好きなのさ)とか好きだけど。
…私だって思いっきり矛盾してるか。

娯楽映画を見てるはずなのに、ついついこんなことを考えてしまった。

2001年04月07日(土)
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