unsteady diary
riko



 にんげんドキュメント

数日前に配布されたESが、今日の必着。
時間もなくて、企業研究も足りなくて少々諦めかけていたけど、自分から可能性をつぶすのもいやだから、いつもののろのろペースでどうにかしあげて、出しに行った。
企業の最寄の中央郵便局を探して午前中に駆け込み速達で当日必着にするというずるい作戦を最近覚えて、これで2回目だ。
持ち込みができれば、郵便局の目の前なんだけどなあ。
消印を見ればすぐわかる。>なんて礼儀知らずの就活生。

午後にセミナーが入っていたので、そのまま時間をつぶそうと思ったら、
現金が数百円しかないことに気づく。
あるのは500円の図書券くらい。
一度も買い物では使ったことのないが、家庭教師の登録をしたときに、その会員登録を兼ねてJCBカードをつくったことがあったのだけど、コーヒーショップくらいじゃ、どこもカードで会計なんてできやしないのね。
おずおずと訊いてみたら、けんもほろろに断られた。

次のセミナーの場所に移動して、またもさまよっていると、PRONTOを見つける。
なんとコーヒーがセール中で120円!
ほっとしたとたんに、朝から何も食べてないことを思い出してお腹がすいた。
安いパンと苦いアイスコーヒーを買ってやっと落ち着く。

ふと、喫茶店は場所を買うのだなあと思う。
そこにいていいよ、という許可をもらって、ほっとくつろぐ。
コーヒーがそんなに美味しくなくても、
つかのまだけど自分の場所になる、その席とコーヒーとで、
なんとなく救われる気持ちになるときもある。
缶コーヒーと外の雑踏ではダメなのだ。
自分は、場所にしがみついていたい生き物なのかもしれない。

信販会社の総合職のセミナーだった。
今年は40人しか採らないうえに、女性はその1割以下になるので、たぶん3人くらい。今日のセミナーだけで、3分の1は女性だったのに、だ。
主な仕事は加盟店への飛び込み営業。
それでも、銀行の総合職よりは、気合でどうにかなりそうな仕事内容。
文学部&女子でも総合職で採ってくれるのかという点が、たいがいの企業でいちばん気になるところ。
実際は、そうとう厳しい状況だとは思う。

ちなみに、総合職かどうかの問題については、女性陣から複数意見を頂いた。
ありがとうございます。
自分の気持ちに正直になれるようにしたいと思う。
そうするとたぶん、総合職がやりたいわけじゃない自分を見つめることになるんだろうな。


帰宅して、いつのまにやら眠っていた。
目が覚めたら深夜の12時だった。
こういう眠り方をすると眠りがますます狂うので、眠いのを耐えていなければならなかったのに、いつのまにか睡眠欲に負けてしまった。
夕ご飯らしきものを食べてなかったことに気づく。
おかひじきのおひたしとオレンジをぼそぼそと食べる。
NHKの「にんげんドキュメント」を見る。
涙が出る。

ちょっとくらい弱ってても、気にしないで歩く。
そうして歩いていれば、虚勢だってことさえ忘れて、
私は強いと胸張っていられるくらいになれると信じて。
でも、自分でも見ないでいたほんのちいさな亀裂にも、しみこんでくるんだ。


鳩間島という人口が60人ちょっとしかいない沖縄の果ての島があるそうだ。
小中学校がひとつあって、10人ちょっとの生徒がいる。
だが島出身の生徒はひとりもいない。
不登校になったりして傷ついた子供たちをこの島は受け入れているのだという。

矍鑠とした、さぞや若いときはきりっとした美人だっただろうと思われる、
ハンサムなおばあさんが、ひとりの女の子の里親をしている。
彼女は、小学校のころからほとんど学校に行ったことがない。
団体生活に馴染めず、ここに来た。
目標もなくもなく、ただいまだけを満たす為だけに。

彼女は、おばあさんとの暮らしのなかで、ひとつの夢を見つける。
おばあさんの具合がよくなくて、石垣島での入院をせざるをえなくなったことがあってから、鳩間のお医者さんをしたいと思うようになる。
そして高校への進学を決意をする。

福岡出身の彼女は、戻って単位制の高校を受ける。
最初の入試で落ちて、2次募集を受けて落ちて…。
彼女の母親からの電話で、いま落ちて泣いているという話を聞いたおばあさんは、
かわいそうに、と一緒に泣く。
試験を終えて島に戻ってきた彼女を、おばあさんは受け入れる。
「落ちててもいいよ、弱って、また何度でも頑張れば…」
そう涙を浮かべながら淡々と言い聞かせる。

彼女は、同じ高校の通信課程に再チャレンジして、合格する。
単位制だから何年かかっても単位がとれれば、卒業できる。
ここでじっくり実力をつけてから、医学部を目指すつもりだという。


なんて純粋な向学心だろうと思う。
こういう人にこそ、高校も大学もその先も、どれだけでも学習できる環境があってほしいと思う。
心底、応援したいと思う。


だが、純粋に感動して涙が出たわけじゃなかった。
自分のことと重ね合わせてしまったからだ。


私はなにも考えずに高校に行った。
それが当たり前だったし、行こうと思っていた高校に進学した。
でも、なにかがやりたかったわけじゃない。
考えてみれば、公立高校だったから学費が安いとはいえ、
学習できる機会を、ずいぶん無駄にしたんだと思う。
ましてや大学は…。

「1998年3月高校卒業→4月大学入学→2002年3月卒業見込み」と履歴書に書くたびに思う。
このまま2002年4月に就職する以外に、ほかの選択肢もいろいろあるはずなのだ。
それでも。
皆が就職するから、私もそうしなければ不安で、なんとなく活動を始めた。
苦労しているのは、そういう覚悟のなさのせい。


南の島の少女の純粋な決意は、私には眩しくて、直視できないくらいだった。



2001年04月18日(水)
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