unsteady diary
riko



 「『いのち』を意識して生きていますか?」


「婦人公論」5月7日号、特集に惹かれて読んだ。
特集の「『いのち』を意識して生きていますか」が面白い。
川田龍平さんの手記、石井めぐみさんの「天使になった“ゆっぴい”が私を変えてくれた」。
だけど、いちばん自分が読んでいて痛さの近かったのは、読者ノンフィクション。
私と同じ大学4年のときに、突然膠原病になった読者(25歳)の手記なのだけど。

「あなたは病気であることを自覚しなくてはいけません」という正論を威圧的に繰り返す、ボランティア精神旺盛なAさんに対する筆者の苛立ち。
たとえば。
「落ち込んでも時間の無駄だと思う。やっぱり目標を持って……そうじゃないと生きていても楽しくないよ」というAさん。
明るく前向きに目標を持って、と言い続けられ、Aさんに、コンピューターで仕事ができるようにするという「夢」を勝手に設定までされてしまった筆者は、Aさんに対して、「架空の目標を語るくらいのことはやってのけ」るようになった。「空っぽの自分のなかで、どうしようもない虚しさだけが広がっていくのを感じながら。」
だが、最後に筆者はAさんに決別の言葉をしたためる。
「Aさんは正しいです。ご立派です。でも私はコンピューターではありません。病気になったからといって心構えをインストールして優等生のように生きていくことは出来ません。」
そうして、苦しさを苦しさのまま抱えて、自分がなぜ病になんかなったんだろうというどろどろした気持ちも抱えて、「病人なりの」大きな夢のためではなく、一日一日の生活のためにまずは生きようとする。
彼女は、このエッセイを書くことで、「明るく前向きに」と片付けられてしまうことに否と言いたかったのだ。


『五体不満足』の乙武くんの対談もこの号に載っている。
障害や病気をもつ人がクローズアップされるときというのは、負けずに前向きに明るく頑張っていて偉いよねえ、という意味合いが大きい。
あの本は失敗だった…という言葉もあったように、
その“プラスイメージの偏見”が、時には重く圧し掛かり、ありのままの自分であ息がしにくくなるんだろう。

実は、就活の面接も同じで、困難を克服した体験が必ず問われる。
そういう強さや前向きさが、もっとも必要とされる。
私は悩みはいっぱいあったけれど、克服して勝者となったという感覚はまったくないので、とても困る。

だが。
明るく前向きに立ち向かって克服を目指すことが、本人を楽にさせるのか。
幸せにさせるのか。
…生きるのを苦しくさせないのだろうか。


前述の石井めぐみさんの手記に、同じように克服しようと突っ走ったことへの後悔が記されている。
「どんな重い障害でも訓練次第で健常児になれる、健常児以上の天才にだってなれる」という本の言葉に、“健常児になるための訓練”に走ってしまった、と。
ところが、毎日訓練に明け暮れ、優斗くんを連れまわすうちに、彼はストレスからくる拒否反応で、生死の境をさまようことに。
そこで彼女はやっと気付き、こう思うようになる。
「この子は苦しい思いをする為に生まれてきたわけじゃない。私のやるべきことは、健常児に近づけることなんかじゃなく、優斗に楽しい生活をさせてあげることだったのではないか?1分でも1秒でも、生きている限り楽しいことをさせてあげよう。」


いわゆる“ガンバリズム”(頑張ることを至上とする主義)への抵抗はずっとあったけれども、この言葉を口にできるのは、心底頑張った人だけだと思う自分もいた。
従って、自分は全然頑張れていない、だから負け犬の遠吠えだ、と。
でも、障害や病気の程度じゃなく、困難の程度じゃなく、
自分が苦しいと思うときに、なにかの圧力(自分の中の“変な生き物”の声も含む)“頑張らされる”のは余計に苦しいわけで。


答えが出ないね。
そもそも、この特集は、命を考える特集であって、ガンバリズム批判じゃない。
実際、特集の記事のなかには、「頑張りました」と胸張って成功談を述べている人もいるのだから、筋違いなんだろうけれど。
そんな記事には感動しない私は、もしかしなくてもひねくれ者なんだろうな。(笑)
大丈夫、拍手は送っておきましたから。







―その2―


男子バレーボールが好きな私。
といっても、テレビ中継くらいしか見ることはないけれど。
最近の天皇杯、揺れてましたね。
昨日はサントリーがNECを破ったらしい。
NECがリードしてたらしいのに。
しかも、久しぶりにリベロ西村が戻ってきた試合だったのに…。
ちなみに、私は「リベロ」というサーブレシーブに徹するためだけのポジションが、実は一番好きだったり。
いわゆる花形になれるかもしれないチャンスを自ら切って、
チームでたったひとりだけのその役割に徹する。
ストイックで、職人気質って感じがいいんです。
そういえば、サッカーでもGKが好きな私。
専門家とか、縁の下の力持ちに弱いのかしらん。

そして今日、JTvsサントリーの決勝戦。
絶好調なチームより、後を追うチームをついつい応援してしまう日本人な私。
JT、大きな大会での初めての優勝、おめでとう。
平野…ほんのちょびっとしか出なかったけどさ。(涙)

平野の人気はすごいけど、はっきりいって、欠点も多い。
プリンス加藤みたいに安定して打つわけじゃないし、
サーブレシーブ上手くないし、そもそも、ムラがありすぎ。
この人が出るときは、失敗するか、成功するか、そのどちらか。
大事な場面でも、とことん強気。
その結果、最後のセットのマッチポイントで、自分のサーブミスで相手を勝たせたこともしばしば。
はあ。
でも、そこが魅力なんだよ〜。
あの人が出てくると、時に空気ががらりと変わる。
ミスも多いけど、運を味方につけたら、もう止まらない。
吠えて吠えて吠えまくる。(笑)
不安定さも、悔しそうな表情も、落ち着いたオトナでなくて、
ガキ大将っぽくて、そこがまた…。

ミーハーバレーファンでごめんなさーい。
そういえば、パスカルがスパイク打つときの斜め45度がうっとりだよね、と友人に話したら、なに見てるのよと叱られました。
いいんです、それでも。
もはや、このミーハーは血です!

2001年05月06日(日)
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