ニッキ ゆり 【HOME】
- 2002年11月09日(土)
5週間の実習がやっと終わった。
実習が終わったと同時にワタシは実習生ではなく
1人の女になった。
やっとそうやって胸はって言えるようになった。
−実習終わったな。お疲れさま。ある程度答えは出したつもりでいるよ。
とりあえず支度しておいてな。
メールが来ていた。
一緒に東京へ帰ろうというメール。
そして答えというのはワタシたちの今の関係の答え。
怖かった。
それでなくても金曜までの間にワタシはとても苦しかった。
周りからのコトバだけで、あんなにも苦しくなるなんて思っていなかった。
そして、思い出したくもない過去がフラッシュバックして
窒息しそうなくらい胸が痛かった。
車を待つ間ワタシは怖くて何も考えられなかった。
いっそのこと電車で帰ってしまおうか、とも思ったぐらいだった。
1時間も待っていて考える事はただひとつ。
「一緒にはなれないから来ないんだ」ということ。
電話もメールも何も連絡がなく、ワタシはただ1人で立っていた。
「悪い!今職場出た。遅れた理由は会えばすぐわかるよ。今どこ?」
「仕事してたんだ?今駅だよ」
「わかった。あと10分くらいでつくから」
車に乗り込もうとドアをあけた瞬間
遅れた理由は本当にすぐにわかった。
髪の毛を切っていたからだった。
心境の変化らしく、心機一転するために短くしたらしい。
ドアを開けて顔を見た瞬間
とても苦しかったものが一気に無くなってスーッと楽になるのが解った。
東京のアパートへ帰る間、車の中でワタシは暗かった。
元気をあげなくちゃいけないのに。
元気がないのはワタシじゃないのに。
だけど、ワタシは答えを知りたがっていた。
答えが欲しくて、聞きたくてどうしようもなかった。
アパートへ付き、お酒を飲みながら話をした。
「答えは出たの?」
「答えっていう答えはまだ出ていない。『す』の次の言葉が見つからないんだ。
わかっているけど、俺自身の問題なんだよ。
ゆりは『すき』って気持ちをものすごくいっぱい俺にぶつけてくれるけど
俺はそれをちゃんと返せる人なのか、がんばれる人なのかわからないんだ。
それに、もっと俺のことちゃんと見て欲しいし知って欲しいし
俺もゆりのことをもっと見たいし知りたいんだ。」
「ワタシはどうすればいいんだろう」
「待っていて欲しい。」
「半年は待てないかもしれない。」
「そんなに待たせるつもりはないよ。」
ワタシは今のままのとても中途半端で壊れやすい関係のまま
ずーっとずーっといることは出来ない。
ワタシはそういう曖昧な関係がとても苦しいから。
少なくとも金曜日までの間に知ってしまったことがワタシを苦しめていたから。
だけどちゃんと考えてくれている事はとてもわかったし
ワタシに何かをしてあげたい、してほしいという気持ちもとても解った。
いっぱい伝わってきた。
冷蔵庫に麦茶をしまいに行った時後ろから声が聞こえた。
「今日は一緒に寝ような。」
実習中とは全く違い、これから平日は会えない。
その分会ったときは側にいたい。ずっとずっと手を繋いでいたい。
それはワタシたちの同じ考えだった。
ギュと抱きしめられながら色んな話をベッドの中でした。
「セックスはしない」それはワタシの決めた境界線。
それをちゃんとわかってくれていた。
後悔したくない。
それだけだった。
だからワタシは後悔しないためにも
はっきりと答えを聞くまでは諦めないし
遠距離にも負けない、そう決めた。
「ちゃんと言葉で言わなきゃ駄目か?そんなに必要か?」
「ワタシは少なくとも言葉でしか受け取ることが出来ないし
言葉でしか知ることができないよ」
付き合う、付き合わない。
そのコトバの重要性の違いが生まれた。
でも、『す』の次のコトバはわかっているけど
今は自分自身の答えを見つけなきゃいけないんだ、と言っていたコトバを信じたい。
ワタシの気持ちにたいしての答えではなくて
自分自身がやっていけるか、という答えを今必死で探している所なんだと思う。
金曜から土曜の夜まで一緒にいて
夕食を食べに行き、その後、車で帰っていった。
ほんの少しの距離だけれど、遠距離が始まった。
部屋に戻って忘れていった靴下と置いていった新聞を見ていて
とても寂しくなった。
今こんなに寂しくなったらこの先やっていけないっていうのに。
ワタシは弱虫で、強がりな変な人だけど
それでも過去にとらわれず生きていけたら、といつも思う。
何度も同じようなところに足を突っ込まずにすむように
確認を何度もとりながら歩いていけたら、と思う。