ニッキ ゆり 【HOME

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2002年12月24日(火)

友達と7時から呑み会。
電話が来たのは夕方の3時だった。
「おーい。今日暇?」
「おはよう・・今起きた」
「何やってるん?!今日さ呑みだから。来いな」
「はーい」

6時までもう一眠りをして支度をして出かけた。
駅前で待っているように、とメールが入って
ワタシは寒い中、駅前で道行く人たちを眺めていた。

7時を過ぎても友達らしき人は誰も来なくて
電話をかけようとした瞬間だった。
本当にボタンを押そうとした瞬間。
電話が鳴った。

見覚えのある番号。大好きな人からだった。
「もしもし?」
「おう。」
ワタシは応援された。
大好きな人に見てもらいたくて頑張っていたけれど
それは決して自分のためにならないことだ。
だからワタシは自分の為に頑張るんだ、と伝えた。
大好きな人は「俺も頑張る」とだけ言った。
「またな。あ、またなは言っちゃいけねぇんだよな。」
「うん。」
「じゃぁ」
「うん」
すぐに電話を切った。もうかかってくることもない電話。
もうかけることのない電話。

バイバイを言いそうになってた。
でも、それを聞いたら泣いてしまいそうなワタシがいて
バイバイも言わず、「うん」とだけ言ってすぐに切った。
きっと大好きな人は「バイバイ」と言おうとしたんだと思う。
だけど聞かなかったし言わなかった。

電話をパタンと閉じて、溜息をひとつついた。
もう一度開いた。
電話帳から友達の名前を探して電話をかけた。

だけど、留守電になってしまった。
「なんなんだよ?!」と独り言を言ったら
駅の反対側からサンタの格好をした人が歩いてきた。
「あー、いつもの奴ね。最近多いよなぁ。サンタさん。」
そう思っていたら、サンタの格好をした人は6人もいた。

だんだんワタシの方に近づいてくる。
よく見ると心友といつもの仲間だった。

「メリークリスマス!元気の無いゆりちゃんにプレゼント!」
あっけにとられたのは言うまでもない。
信じられなかった。
こんな事本当にあるのかって、ドッキリなんじゃないのかって。

友達の電話にもろくに返事もせず、メールも返していなかった。
何かを悟った友達が呑み会をひらいてくれたのだった。
呑み屋へ続く道のり、少し泣いた事は誰にも見られてなかったはず。



近くの呑み屋でサンタの洋服を脱いでいる友達に
「それどこで買ったの?」
「ドンキー」
「6着も?」
「6着も」
「なんでまた?」
「仲間でしょう!」

酔っ払いのおじさんやカップルなんて気にしていられなかった。
ワタシは涙が止まらなかった。
大好きな人の声が頭から離れなかった。
だけど、みんながワタシのことを思ってくれていることのほうが
何十倍も嬉しくて、悲しい涙が嬉しい涙に変ってた。

「こんなこと信じられない」
ワタシはそれしか言うことが出来なかった。

隣りに座った心友は何も聞かなかった。
周りの友達も何も聞かなかった。
「今夜はゆりのため。そんでもって彼女彼氏のいない俺らのため」
何度もそう言うだけだった。


2時間コースの呑み会でワタシは上手く笑えなかった。
やっぱりまだ大好きな人の笑顔が頭の中に浮かんできて
たまにボケッとしてしまう時があった。

さっきの電話の声。
どうして電話をくれたのか。
ワタシが上手く変っていけるように応援してくれた。
俺も頑張ると言った。
頑張ってるとも言った。
ワタシは何も頑張れていなくて
これからも上手く頑張れないかもしれない。

そんなことばかり考えていた。

心友には見抜かれていた。
「おーい、なんだよ?カップルばっかりで嫌なのか?」
「ごめん。違うよ。ワタシやっぱりまだ…」
「わかってるよ。わかってるけど、今夜はみんながひらいた呑み会なんだ。
 俺が声をかけたわけじゃない。」
「うん。」

悪い事をしたな、と反省をして
うちで呑みなおすことにした。

みんな酔いつぶれて眠っている。
ワタシはみんなのおかげで少し元気になれたのかもしれない。

明日からはほんの少し前を向いて歩いていかなくちゃ。


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