ニッキ ゆり 【HOME】
- 2003年03月26日(水)
1時間だけ技能講習を受けてタバコを吸って気持ちを落ち着かせた。
頭の中は学科のことしかない。
標識やいろんなルール。頭の中でいっぱいぐるぐるしてた。
もういいや。
半ば諦め半分で仮効果測定を受けに行こうと歩き出した。
受付の前を歩いていたら
長いすにダランと座っているモトキがいた。
「あ。モトキ!」
「おぉー。今日は何?もう乗ったの?」
「うん。今乗ってきた。今から仮効果受けるの。」
「まじかー。早いなぁー。」
「絶対落ちるけどね」
「大丈夫だよ。簡単だって!」
「まぁいいさ。落ちてくるよ」
モトキに会った途端、緊張していた気持ちが一気になくなった。
「落ちてくるよ」なんて冗談を言えただけですごく頑張れそうな気がした。
試験場に入ってパソコンの前で問題を解き始める。
「あーだめだ。全然わかんない」
50問の試験の半分以上は「どっちだったっけ?」
受かる自信なんてこれっぽっちもなかった。
結果を受け取る時は怒られるんだろうなぁ。
やだなぁ。まいったなぁ。
そんなことを思いながら結果を受け取りに行くと
「ギリギリ合格ですよ」
50点満点中、43点で合格。
みごとに43点だった。
はっきりいって、ものすごく嬉しかった。
一発合格なんて、信じられなかった。
軽く走りながら試験場を出てモトキの所へ行く。
「受かっちゃった!」
「はー?!まじで?すごいじゃん!!」
一緒に喜んでくれる人がいてよかった。
嬉しさも倍増した。
あと3回、技能講習を受ければ仮免の試験が受けられる。
今月中には仮免に受かるといいな。必死に思った。
あの人のいる美容院から道路をはさんだ反対側に
いつもいくTSUTAYAがある。
久しぶりにレンタルでもしようと思って中に入る。
ぼけーっと新曲を眺めて洋楽のコーナーへ歩いていく。
「オススメ!」なんて書いてある棚から
ジャケットのかっこいいCDを手に取った。
次の瞬間ワタシの行動はそのまま止まってしまった。
CDを取るとその向こうは窓ガラスで
道路をはさんだ反対側には美容院が真正面に見えたのだ。
本当に偶然。
あの人をみつけてしまった。
一番窓側に座るお客さんのカラーリングをしている最中だった。
「あ。」
かすかな声を出してワタシはそのまま立ち止まったまま
何十秒かじっと見つめてしまった。
CDの棚越しに。
しかも手は棚のCDを取ろうとしていて、そのままだっていうのに。
「お客様?何かお探しですか?」
「え?あ。いえ、違います」
店員に声をかけられて我に返った。
ワタシ何やってんだろう。
ストーカーみたい。格好だけは。
TSUTAYAを出てそのまま自転車に乗り家に帰った。
美容院の前を通ろうなんて、そんな勇気はなくて
そんなことしたくもなくて。
小さなラッキーを見つけたような気分だった。
すごく単純。
だけど、今はこんなワタシがすごく好きだと思った。
家に着いてからレンタルCDをMDに録音しながらメールを打つ。
「仮効果測定、一発合格しましたよ」
なんてそんなような内容。
もちろん、宛先はあの人に。
いちいち報告なんかしてるワタシに
もう1人のワタシが「何やってんの」って言ってたけど
そんなもう1人のワタシにはパンチをしてやるんだ。
ドキドキしながら送信ボタンを押す。
あっという間にメールはあの人の携帯へ受信されたはず。
こういう小さなことに喜びを感じてしまう。
そうえいば、モトキにアドレスを教えるのをまた忘れてしまった。
この前送ったショートメールは一番肝心な部分が送信できていなくて
中途半端なメールが送信済みフォルダーに残ってたっけ。