TALES OF ROSES

2005年09月05日(月) TATOO、その4


その後は、Nに会っていない。

Nの残したバラは、意地でも枯らせたくなかった。
全部 私が引き取り、友人、知人、親戚、ネット網まで使って、
引き取り手を捜した。
一鉢2000円で買ってもらい、そのお金はすべてNの郵便受けに入れた。

「ありがとう、アパートを探す足しになるよ。」とお礼の電話が来た。
Nと話したのは、それが最後になる。


偶然 隊長に会った時、残った球根を手渡された。
「お宅の庭で咲かせてあげて下さい。」と 
泣きそうに微笑んだ隊長の目を正視できず 目をそらした。




水辺の里で、大勢子供達を引き連れて カレーを作って一日遊んだ。

4家族で早地峰山の麓をドライブして、焼き鳥を大量に焼いて食べた。
隊長のつりざおをひっぱって 子供達は綱引きをした。
巡る季節を 一緒に 本当に思い切り遊んだ。


あの時一緒に遊んだ子供達は、みんな中学生になった。



Nのバラは、遠くは世田谷まで行った。

一緒に花巻ばら園で買った、最初のバラ「バタースコッチ」。
今では 二階まで届く大株になっているそうだ。
ばら園の園長先生が、声かけて下さった時も Nも一緒だった。


頭の両脇で髪を結ぶNの髪型は、わたしの漫画のキャラクターとなり
Nの名前を使ったその主人公は、何年も経てテレビドラマにまでなった。


Nが たった一本 最後まで、手放さなかったバラがある。
「イブ・ピアッジェ」という大輪の濃厚な香りのバラ。
私の好みではなく、そんなのどこがいいの?
この良さがわからないの?と 笑って言い合った。


バラの好みだって、平行線をたどる。
まして他人の人生に、どう口出しができようか。


青い鷲は、Nの背中で、羽ばたき続ける。

それは 確実に 重荷になるだろう。
刻印に手を貸した者として、問いかけずにはいられない。

イブは 今年も 咲いた?、N。

元気で やってる?N。



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