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2001年12月23日(日) 氷月


 「なー、月って丸いのな。」

 凍る途中で製氷皿から取り出したように薄い氷月。

 あなたはこれから満ちる月を想像し、わたしは欠けていく月を想う。

 インターチェンジを抜けても車内に流れるのは煙草の煙だけだった。
 闇の中から白い波が生まれる景色に辿り着いた時、あなたはシートを倒しサンルーフを開けた。

 寝たふりも出来ずに同じようにシートを倒すと、薄い尖った月が開け放たれた額縁の中に現れた。

 「なー、月って丸いのな。」
 あなたがそう感想を漏らす月が妬ましい。

 雲ひとつない尖った月が憎らしくて、煙草の煙で雲を作った。



香月七虹 |HomePage