short story


2001年02月08日(木)


18-悲しい笑顔-
ああ。
なんてことだ。
そうだった。
忘れていた。
二人はあまりに自然に一緒にいたから
すっかり忘れてしまっていた。
とてもいいアイディアを思い付いたから
舞い上がってしまって、完全に忘れていた。
彼女は
僕の恋人ではない。
僕には、彼女に合鍵を渡す資格などなかったのだ。

僕はようやく自分のしてしまったことを理解した。
なんて馬鹿なことをしてしまったのだろう。
なんて軽率なことを。
僕は激しく後悔した。
「そうだな。そうだった。」
と言って鍵をポケットにしまうのが精一杯だった。

彼女はそれを見て
もう一度、悲しそうに笑った。

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日記才人