short story


2001年02月09日(金)


19-決心-
僕と彼女との関係は
恋人同士なんかじゃなく
言ってみれば、恋人同士を演じること。
恋人ではないけど
互いの存在を気にも留めずに
ただ、共に過ごすことを彼女は僕に与えてくれた。
それを受け入れた時から
僕と彼女の距離は決まっていたのだった。
そして、その距離とは
変えてはいけないものだった。

おかしいかな?こんなの。
理解できないかな。誰も。
そうだろうなぁ。
しかし僕はこう思った。
もし、僕が彼女を恋人にしようとしたら
彼女は必ず、僕から離れて行くと。
彼女は僕にそんなことは望んでいないからだ。
はじめからそんなことは望んでなんかいない。
彼女が僕に望むのは、
ただ、今までの様に、そばに居ること。
その安らぎ。
そう思った。

それは僕も同じことだったから
下手に追いつめて、彼女を失うのはごめんだった。
そんなことはあってはならないことだった。

僕は今の関係に満足するべきだと思った。
だから
もう二度と欲張ったりしまい。
と密かに決心した。

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日記才人