僕と彼女との関係は 恋人同士なんかじゃなく 言ってみれば、恋人同士を演じること。 恋人ではないけど 互いの存在を気にも留めずに ただ、共に過ごすことを彼女は僕に与えてくれた。 それを受け入れた時から 僕と彼女の距離は決まっていたのだった。 そして、その距離とは 変えてはいけないものだった。
おかしいかな?こんなの。 理解できないかな。誰も。 そうだろうなぁ。 しかし僕はこう思った。 もし、僕が彼女を恋人にしようとしたら 彼女は必ず、僕から離れて行くと。 彼女は僕にそんなことは望んでいないからだ。 はじめからそんなことは望んでなんかいない。 彼女が僕に望むのは、 ただ、今までの様に、そばに居ること。 その安らぎ。 そう思った。
それは僕も同じことだったから 下手に追いつめて、彼女を失うのはごめんだった。 そんなことはあってはならないことだった。
僕は今の関係に満足するべきだと思った。 だから もう二度と欲張ったりしまい。 と密かに決心した。
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