1月。 年が明けた。 僕は年末から正月にかけて実家の方に帰省していた。 住んでいる所とは少し離れているので 帰るのは面倒ではあったけど 地元に帰るのは嫌いではなかった。 なぜなら、そこには家族や親しい友人がいるからだ。 だから都合が合う限りは、正月は地元で過ごすことにしていた。
僕には親友と呼んではばからない友人が一人だけいる。 幼い頃からの友人だ。 なんというか。 彼とはあまりに時間や空間を共にし過ぎて、 ある意味、お互いがお互いのパーツみたいなものになっていた。 それはそうだ。だって人生のほとんどの部分を共有してたんだから。 彼は、僕が自然体で付き合える数少ない男だった。
年も明けて間もなく、僕は彼と飲みにでかけた。 二人ともあまり酒は飲まない方だったから 飲みに行った。と言うよりは近況報告をしに行った。という方が正しい。 久しぶりの再会を祝して。というやつだ。
待ち合わせをしていた居酒屋に入り、彼を探す。 間もなく、奥の座敷の方で彼が手を振っているのを見つけた。 1年ぶりくらいに見る彼は相変わらずだった。 ちょっと太っただろうか。からかってやろうと近づく。 と、彼の横に見た事のない女性が。 あいつ。どうやら彼女を連れてきたらしい。
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