short story


2001年02月11日(日)


21-親友-
1月。
年が明けた。
僕は年末から正月にかけて実家の方に帰省していた。
住んでいる所とは少し離れているので
帰るのは面倒ではあったけど
地元に帰るのは嫌いではなかった。
なぜなら、そこには家族や親しい友人がいるからだ。
だから都合が合う限りは、正月は地元で過ごすことにしていた。

僕には親友と呼んではばからない友人が一人だけいる。
幼い頃からの友人だ。
なんというか。
彼とはあまりに時間や空間を共にし過ぎて、
ある意味、お互いがお互いのパーツみたいなものになっていた。
それはそうだ。だって人生のほとんどの部分を共有してたんだから。
彼は、僕が自然体で付き合える数少ない男だった。

年も明けて間もなく、僕は彼と飲みにでかけた。
二人ともあまり酒は飲まない方だったから
飲みに行った。と言うよりは近況報告をしに行った。という方が正しい。
久しぶりの再会を祝して。というやつだ。

待ち合わせをしていた居酒屋に入り、彼を探す。
間もなく、奥の座敷の方で彼が手を振っているのを見つけた。
1年ぶりくらいに見る彼は相変わらずだった。
ちょっと太っただろうか。からかってやろうと近づく。
と、彼の横に見た事のない女性が。
あいつ。どうやら彼女を連れてきたらしい。

 < past  INDEX  will >
日記才人