彼に彼女ができたなんて、まったく知らなかった。 僕と彼が連絡を取り合うなんてのは希なことだったからだ。 それは、親しくなるのに比例して連絡不精になるのかと思うほどで、 半年もの間、電話一本しないなんてのは当たり前だった。 それにしても会うまでなにも教えないとは。 さすがに自分から報告するのはテレくさかったとみえる。 「彼女ができた時くらい連絡しろよな。」 と笑って、彼の幸せを喜んだ。
彼女に紹介してもらい、彼女を紹介してもらう。 どうやら僕らより一つ年下らしい。 なんとも彼にお似合いの可愛いらしい人だった。 物静かに僕らの会話を見守っている。 煙草を持てば灰皿を寄せてくれるあたり、気の利く女性のようだ。 ちょっと身の回りが雑な彼には、ちょうどいいかもしれない。と思った。
僕は、ニヤニヤしながら 二人が出会った経緯や近況など、あることないことを聞いてやった。 彼は照れながらもまんざらではない様子。 ついでに彼の昔の失敗談などを彼女に話してやった。 彼は「余計な事言うな。」と言いながらも 「あの時はなぁ…。」と結局、自分から話して彼女を笑わせていた。 ここまで幸せそうな顔されると言葉もないな。と思った。 おっと。なんかこっちまで幸せになってきた。
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