short story


2001年02月12日(月)


22-のろけ-
彼に彼女ができたなんて、まったく知らなかった。
僕と彼が連絡を取り合うなんてのは希なことだったからだ。
それは、親しくなるのに比例して連絡不精になるのかと思うほどで、
半年もの間、電話一本しないなんてのは当たり前だった。
それにしても会うまでなにも教えないとは。
さすがに自分から報告するのはテレくさかったとみえる。
「彼女ができた時くらい連絡しろよな。」
と笑って、彼の幸せを喜んだ。

彼女に紹介してもらい、彼女を紹介してもらう。
どうやら僕らより一つ年下らしい。
なんとも彼にお似合いの可愛いらしい人だった。
物静かに僕らの会話を見守っている。
煙草を持てば灰皿を寄せてくれるあたり、気の利く女性のようだ。
ちょっと身の回りが雑な彼には、ちょうどいいかもしれない。と思った。

僕は、ニヤニヤしながら
二人が出会った経緯や近況など、あることないことを聞いてやった。
彼は照れながらもまんざらではない様子。
ついでに彼の昔の失敗談などを彼女に話してやった。
彼は「余計な事言うな。」と言いながらも
「あの時はなぁ…。」と結局、自分から話して彼女を笑わせていた。
ここまで幸せそうな顔されると言葉もないな。と思った。
おっと。なんかこっちまで幸せになってきた。

 < past  INDEX  will >
日記才人