結局、彼女は 服を掴んだまま、僕の家の前まで来てしまった。 歩いている間、僕は一生懸命に現在の状況を把握しようと試みたけど どう考えても自分の置かれている立場が理解できなかった。 この子。ど〜ゆ〜つもり?結論はこれに尽きた。
僕は鍵を開け、ドアを開けた。 しばし彼女の反応を窺ってみるけど変化なし。 そこまで来たらどうも勢いづいちゃって。 僕はそのまま彼女を家に入れた。 彼女も、当たり前のように家にあがった。
たまたまその時、部屋は片付いていた。 前の日に自分でも見かねて掃除していたのだ。 僕は偶然に感謝する。
彼女は部屋の真ん中で立ち往生していた。 そらそうだ。初めての人の家に行った時って身の置き場ないものな。 おまけにさっき会ったばっかりだし。 とか思ってたら、テレビのリモコン見つけてテレビを見始めた。 この子。なに?
僕はちょっと面白くなってきた。 彼女に興味が湧いてきた。 彼女のとるおかしな行動。 初対面の男に付いてくる。 しかもその男の家でくつろぐ。 おもしろい。 僕はそう思った。 そして、なにか対抗意識というか意味不明な感情が湧きあがってきて 彼女の行動に合わせる自分がいた。 このおかしな女。 おかしな状況。 おもしろいじゃないか。 付き合ってやろうじゃないか。って。
だから僕は、彼女の奇妙さを無視することにした。 やっぱり酔っていたんだろうか?
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