風呂上がりの彼女は魅力的だった。 女の人はみんなそうなんだな。 ほんのり上気していて。髪が濡れてて。 俺も同じシャンプーを使ったはずなんだが。 なぜこうも匂いが違うのだろう?
服を貸して欲しいと言うので Tシャツとスウェットを貸して与えた。 僕は男にしては小柄な方だが、やはりサイズがちょっと大きいようだった。
風呂上がりの女が、自分の服を着て 鏡の前で髪を梳かしている。 不思議な光景だった。 俺達、付き合ってるのか?と聞きたくなるほど 彼女の行動はまったく自然だった。
そしてひとしきり、くつろぐと 彼女は 「この服借りるね。」 と言ってさっさと帰って行った。
あっという間に僕は部屋に一人取り残される。
なんとも夢の中にいるような。 酔っているような。 呆然。というやつだ。 あの女はなんだったのだろう?という疑問が しばらく頭を支配して離れなかった。
そして次第に、笑いが込み上げて来て 一人で大笑いしてしまった。 あんなやつ、見たことない。 聞いたこともない。 僕は、本当に奇妙な、貴重な体験をしたなとつくづく思った。
そしてその女に付き合った自分もおかしかった。 新しい自分を発見したようだった。
ああ。今日はなんて面白い一日だったんだろうと思った。 きっと10年に1度くらいの最高な日なんだと思いながら眠った。 眠りにつく寸前まで、顔がニヤけていた。
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