short story


2001年02月21日(水)


31-最高な日-
風呂上がりの彼女は魅力的だった。
女の人はみんなそうなんだな。
ほんのり上気していて。髪が濡れてて。
俺も同じシャンプーを使ったはずなんだが。
なぜこうも匂いが違うのだろう?

服を貸して欲しいと言うので
Tシャツとスウェットを貸して与えた。
僕は男にしては小柄な方だが、やはりサイズがちょっと大きいようだった。

風呂上がりの女が、自分の服を着て
鏡の前で髪を梳かしている。
不思議な光景だった。
俺達、付き合ってるのか?と聞きたくなるほど
彼女の行動はまったく自然だった。

そしてひとしきり、くつろぐと
彼女は
「この服借りるね。」
と言ってさっさと帰って行った。

あっという間に僕は部屋に一人取り残される。

なんとも夢の中にいるような。
酔っているような。
呆然。というやつだ。
あの女はなんだったのだろう?という疑問が
しばらく頭を支配して離れなかった。

そして次第に、笑いが込み上げて来て
一人で大笑いしてしまった。
あんなやつ、見たことない。
聞いたこともない。
僕は、本当に奇妙な、貴重な体験をしたなとつくづく思った。

そしてその女に付き合った自分もおかしかった。
新しい自分を発見したようだった。

ああ。今日はなんて面白い一日だったんだろうと思った。
きっと10年に1度くらいの最高な日なんだと思いながら眠った。
眠りにつく寸前まで、顔がニヤけていた。

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日記才人