5日間程の正月休みも終わり僕は自分の家に戻った。 数日留守にしていただけなのに部屋の中はすごく寒々しく感じた。 実家の温かさが一際身に染みた。 まずは彼女の顔が見たいと思った。
2日後、彼女が訪れる。 なんだかすごく久しぶりな気がして少し照れた。 心なしか痩せたように見える。 本人は「ダイエットしたの。」と言っていた。 普通、正月ってのは太るものなんだがなぁと思ったが、 女性の体重減願望には年中行事など無関係らしい。 大体、ダイエットするほど太ってないのに。
彼女が訪れた僕の部屋は あの空虚な感じなどどこかへ行ってしまったように暖かい。 そこが今、自分のいるべき場所なのだとはっきり分かった。 僕にとっての彼女の存在価値をあらためて認識した。 彼女の名前など、どうでも良いことだ。と自分に言い聞かせた。
僕は地元での事を彼女に話した。 母親の手料理が旨かったことや 大事な親友がいるということも、そいつに彼女ができてたということも。 でも彼に、彼女について尋ねられた事だけは言わなかった。
彼女の正月についても知りたかったが 「私の正月は特に変わったことなんてなかったよ。」 としか教えてくれなかった。 なんだよー。けちー。と言ったら 持ってきたおせち料理を取り上げられたので慌てて謝った。
食い物で口封じとは。おそるべし。と思った。
|