short story


2001年02月26日(月)


36-支え-
2月になろうかという頃、
彼女がぱったりと姿を見せなくなった。
はじめは気にしていなかった。
3日会わないことくらいは今までも何度かあったからだ。
しかし、5日、1週間と経っても彼女は来なかった。

日を追うごとに、僕の焦りは激しくなっていった。
なぜ?どうして?
彼女を怒らせるようなことをしただろうか?
彼女との距離を詰め過ぎただろうか?
そんなことはない。
僕はあの一件以来、細心の注意を払っていたはずだ。
分からない。
いくら考えても思い当たる節はない。
まったく分からない。

僕は気が気じゃなかった。
もしかしたらもう彼女は2度と会いに来ない気なのでは?
彼女に会いたい。と思った。
今までにないほど強く。
一刻も早く顔を見たかった。

でも彼女を探し出すことはできない。
本人に、なぜ僕に会いに来ないのか。と問いただすことはできない。
僕は彼女の住んでいる所も、連絡先も
名前さえ知らないのだから
探しようがないのだ。
僕は、彼女が自らやってくるのを、待つしかなかった。

歯痒かった。
なにも手につかなかった。
どうしていいのか分からなかった。
待つしかできないでいる自分に腹が立った。
突然に支えを失ってしまって立ち上がれないようだった。
ただひたすら、彼女がまたたずねてくることを願った。

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日記才人