2月になろうかという頃、 彼女がぱったりと姿を見せなくなった。 はじめは気にしていなかった。 3日会わないことくらいは今までも何度かあったからだ。 しかし、5日、1週間と経っても彼女は来なかった。
日を追うごとに、僕の焦りは激しくなっていった。 なぜ?どうして? 彼女を怒らせるようなことをしただろうか? 彼女との距離を詰め過ぎただろうか? そんなことはない。 僕はあの一件以来、細心の注意を払っていたはずだ。 分からない。 いくら考えても思い当たる節はない。 まったく分からない。
僕は気が気じゃなかった。 もしかしたらもう彼女は2度と会いに来ない気なのでは? 彼女に会いたい。と思った。 今までにないほど強く。 一刻も早く顔を見たかった。
でも彼女を探し出すことはできない。 本人に、なぜ僕に会いに来ないのか。と問いただすことはできない。 僕は彼女の住んでいる所も、連絡先も 名前さえ知らないのだから 探しようがないのだ。 僕は、彼女が自らやってくるのを、待つしかなかった。
歯痒かった。 なにも手につかなかった。 どうしていいのか分からなかった。 待つしかできないでいる自分に腹が立った。 突然に支えを失ってしまって立ち上がれないようだった。 ただひたすら、彼女がまたたずねてくることを願った。
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