short story


2001年02月28日(水)


38-突然の-
部屋に入っても彼女は座ろうとしなかった。
立ったまま、じっと僕の方を見ていた。
悲しいとも、嬉しいとも分からぬ表情。
無言で僕を見詰めていた。

そこで僕は気付いた。
彼女の異変に。

彼女は明らかに痩せていた。
とても2週間で痩せるような痩せ方ではなかった。
それは…病的な。憔悴といった感じの。
痩せ方だった。

僕はゆっくり、恐る恐るといった風にベッドに腰掛ける。
彼女はそれを目で追った。
明らかにおかしな雰囲気だった。
いつもの彼女ではないようだった。

今までに感じたことのない沈黙が流れる。

僕は意を決して
なぜ2週間も姿を見せなかったのか。
なぜそんなに痩せているのかを聞こうとした。
いわゆる、禁を破ろうとした。
少しだけ。

そうせずにはいられなかった。

その時、僕の言葉に覆い被さるように
いやに通る声で
彼女が言った。

「あなたが好き。」

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日記才人