僕はひとつのベッドで 彼女をこの腕に抱いた。 確かに。抱いたと思う。 覚えているから。
暗がりの中にうっすらと浮かぶ彼女の裸体は とても美しく、 昼間の彼女からは想像もできないほど妖艶だった。 壊してしまわないように、優しく抱くのが難しかった。 僕の支配を離れた感情と肉体が 愛欲なのか性欲なのか分からないような強い力で 激しく僕を彼女の中へと打ち込ませた。 何度も。何度も。 それを彼女は苦しそうに、泣き出しそうに 受け止めていた。
すべてが 靄がかっていたように 遠くの出来事だった。 窓を挟んで見ているような錯覚。
僕は窓の内側から 遠慮がちに彼女を愛した。
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