「移り変わる居場所」
視界の隅をかすめて何かが水面に飛び込んだ。今のはなに?と尋ねてもあなたは答えてはくれない。全ては水の底に沈んで戻らないのだと悟った。飛び込んで行方を捜すほど僕らはあの頃のままじゃない。そうだろう。水面にはもう波紋一つたっていない。帰ろうか。僕は独り言のようにつぶやく。帰るべきところへ。そこにあなたはいないけれど。