short story


2001年12月09日(日)


「溢れた瞬間」

好き。
という感情が
ゆっくりと時間をかけて
心の中で育っていくものだとしたら
それがある所まで到達した時
私たちの口から
その言葉が零れるのだと思うのです。
まさしく
溢れ出るように。

その瞬間は
なかなか予期できるものではなくて
本人も気が付かないうちにやってくる。
友達だと思っていた人に
自分は恋したのだと
私たちはその時、ようやく知って
そして知った時にはもう
どうしようもない。


二人で街を歩いて
とてもいい雰囲気の骨董屋を見つけ
あそこに入ろう。
と振り向いたあなたに抱き付いて
キスをしたのは

あの時ちょうど
溢れ出たからなんです。


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日記才人