英国人の彼女
6年間の遠距離恋愛の末、イギリスに嫁いできました。ロンドンで息子と3人で暮らしています。

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2004年10月16日(土) ある国の話

最近、日夜が逆転した生活が続いています。夕方に出勤(=通学)、明け方に帰宅。夜の自習室はほとんど人がいなくて、昼間よりもはかどります。ちょっと寂しいけど。それでも午前4時になっても、まだ何人かいる、というところがすごいです。わたしもそのうちの1人なわけですが、学生ってつくづく非生産階級だ、と思いました。


わたしはあるマイナーな国について、研究しています。その国は、10年間以上、中央政府が存在せず、世界で唯一の「本当の意味での」破綻国家であると言われています。

政府が存在しない、というのは、日本に生まれ育ったわたしたちには、なかなか想像しづらい状態です。万が一、家に強盗が入っても助けを求める警察がなく、海外旅行に行きたくてもパスポートを発行してくれるところもなく、学校や病院はもちろん、水道や電気といった最低限のインフラまで、全て自分たちの力で確保しなければなりません。

国外に住んでいる、その国の国籍をもつジャーナリストが言っていました。「ビザを取るためにどこかの大使館に行くと、あの国出身だというだけで難民扱いをされる。この国にもう何十年も住んでいて、お金も十分にあるのに、ちょっとした海外旅行用のビザを取るために、いつもいつも物乞いのように頭を下げなければならない」

どこの国に生まれるのかという、全く自分の選択範囲外の出来事に、これほど人生が左右されるというのは、どういうことなのだろうと思います。

富が平等に分配されるべきだとは思いませんし、そんなことが可能であるとも考えていません。破綻国家再生のために、先進諸国がむやみに介入すべきだとも思いません。確かに、簡単な解決方法がなく、また自分には直接の影響もないような国で起こっている出来事ですが、せめて、「無関係ではない」と、考えるようにしています。自分がいま、命を危険にさらされることなく生活できているのは、ただ偶然日本に生まれたというだけなのですから。

その国で、先週末、大統領が選出されました。非常に強い反対勢力が今も首都を制圧しており、また域内の自治区と紛争が起こる可能性もあるため、その国の未来については、あまり楽観視はしていません。ただ、このような一つ一つのことをきっかけに、せめて人々が「今日と同じくらい明日も平和だろう」と思って眠りにつけるような国になるといいのに、と思います。



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