あずきの試写室

2004年09月27日(月) 「父、帰る」

2003年のヴェネチア映画祭では、グランプリ金獅子賞と
新人監督賞の2冠をみごとにゲットした当作品。
ロシア映画は、なんだか久しぶりに見る気がします。

写真でしか見たことのない父さんと二人の息子の
1週間の出来事を、抑えた心情風景と静寂の漂う風景で
淡々と描いていきます。
いあ、実際は雨音がとんでもなく大きかったり、
お父さんに対して、二人の不満がふつふつと
湧き上がるさまが、まるでこちらまで
ずきずきするほど感じられるので、
まるで活火山の沈静化している状態ような(適切でしょうか。。。)

写真でしか見たことのないおじさんが
いきなりやってきて
「パパだ、言うことを聞け!」
なんて言われたも、
「なんだこのおっさん」(こころの声)
って思ってしまいますよねー。
なので反発する気持ちも分かるけど。
弟ちょっと怒りすぎ(笑)
兄ちゃんは、「はい。パパ」なんて素直なのにね。

用意された脚本から、不要なものをとことん削り落とした
というだけあって、説明といったものはなく。
お父さんの台詞ひとつひとつにもしかしたら意味があるのかも?
とか写る風景や建物にも、伏線が張られてるのかも?
なんてちょっと推理風に見ることもできますが。
ここは、全編ほとんど3人での演技という
微妙な親子関係に目を据えて見たほうがいいかも
なんて思ったのでした。

弟(イワン・ドブロヌラヴォフ。。役目もイワン)があまりにインパクトがあったので、お兄さん(ウラジミール・ガーリン)の愛嬌のある風情がちょっとかすんでしまった気も。
お兄さんが、この作品の後に水死されていると知り驚きと共に、
もっとよく見てあげればよかったと思わずにはいられなかったのでした。


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