あずきの試写室

2004年10月12日(火) 「小熊秀雄と画家たちの青春」

戦前池袋に「池袋モンパルナス」なる
若手芸術家のアトリエがまるで集落のようにあり、
あたかもパリのモンパルナスのようだ。
ということで詩人であり、童話作家でもある
今回の展示のメインとなる小熊秀雄が命名したという
町が、今の池袋から西武線沿線近くにあったそうです。

今回の展示では、画家としての小熊という側面から
集められた170点もの作品を展示。
さらに池袋モンパルナスで
交流のあった作家たちの作品60点という
見ごたえのある展示会になっていました。

私は詩人として小熊を知ったのですが、
その後童話集を購入。
とぼけた雰囲気の作品と本人が描いたというイラストが
なんともいえない味をだしており、
どんな人なのだろう?ととっても興味を覚えたのでした。
まあ、その要因のひとつにあの芸術的な髪型をした
写真もあるのですが(笑)
今回の展示で、生の写真と別の写真も見れて感激!

絵描きとしての感性もこれまた独特で。
自画像など、一瞬芥川龍之介風って、そう見えちゃったんです。
どちらかというと抽象画っぽい雰囲気もありますが、
2階に展示されたひとコマ漫画風のイラストは圧巻でした。
へたうまっぽい感じなのですが、妙な味に惹かれます。
個人的には、ピカソみたいな(笑)「詩人の食卓」なる作品が
気に入りました。さすが詩人。うん。

小熊個人の展示ということで、奥様に書かれた手紙も展示されていたのですが、今でいう丸文字風の文字で綴られたラブレターは
読んでいて私までズキンときました。
いやー実際この手紙を貰っていたら、ほんとマジで恋に落ちそうです(危ない)
でも、結婚したら家宅の人になって、奥様は大変だったとか。。。。
なんだかなあ。。芸術家だとはいえなあ。

モンパルナス在住だった寺田政明(俳優寺田農の父)、長谷川利行、松本竣介、麻生三郎といった画家たちの作品の展示も、
見ごたえがありました。
といっても、正直絵について詳しいわけではないので
ただ自分の感性で好き!とか気になる!
なんていう情けない見方(どんな見方だ)しかできませんでしたが。
戦前の若き画家たちの息吹を垣間見たような気がいたします(ほんと)

帰ってきて早速ネットで宇佐美承「池袋モンパルナス」なる本も
注文してしまいました。

「池袋モンパルナス」は戦争で、なくなってしまったそうですが、
こうした芸術村があった昭和初期という時代いいものですね。
現代は、何かと便利になったとはいえ
物が豊か=充実して幸せとばかりはいえないかもしれないですね。
人々の熱気が息づく町で、毎日を楽しく時には議論もし
暮らしていた芸術家たちの生活を勝手に想像した
秋の一日なのでした。
この展示を開催してくださった練馬美術館の方々に感謝。


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