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2003年02月16日(日) 「スカパラの人はかっこええなー」

拝啓 王子様





寒さが逆戻りね。
せっかく春物のTシャツを買ったのに、
お披露目はしばらく先になるのかしら。

お元気ですか。
旅先で風邪などひいていませんか。

あなたの便りに誘われて、私も家を出ました。
電車に乗って、長距離バスに乗って、此処までたどり着きました。

「誰だって根無し草なのだし、
私は人生にホームなんて求めていないからいいんだ」
そう自分を納得させても、あなたのようにぶらりと出かけるには
なかなか勇気がいったのよ。



綺麗な田舎です。近くに産廃処理場があります。
退屈で、のろのろとして、まわりは緑ばかりが目立って。
でも、おかげでとても内省的になれるの。
今は泊まるところも落ち着いて、
求人広告で見つけた本屋さんで働かせて頂いています。

アメリカ文学専門の、小さな古書店。
田舎町の古びた駅の東口、出てすぐの所にひっそりと建っています。
電車が来るまで時間を潰すお客さんがけっこう来るわね。
日に、30人くらいかな。

なんでも聞くところによるとそちらの権威にはなかなか有名な店らしく、
たまに電話がかかって県外から注文をしてくる人もいます。

実際に買う人はごくわずかだから、
特に仕事もないし私はレジの前でずうっと読書をしているだけ。
オーナーさんも「席を離れないでいてくれれば好きなようにしてていいよ」と言ってくれました。
寛容な方なの。



古書店には私ともう一人、雇われの男の子がいます。
私はレジで、その子はずっと、買い取った商品の袋詰めだとか
納品だとかをしているの。
線が細くて色は透けるように白くて、
前髪が目に入りそうな流行風(こんな表現ておかしい?)のヘアースタイルです。

昨日は仕事のあがりがちょうど彼と一緒になって、
喫茶店で話して帰ろうということになりました。

まるで生まれて初めてのデートみたいだったわ。
ドキドキして。
私だけドキドキして!
お互い目は合わせないで、下を向いて話すのよ。
誰かに見られたらお笑い草だわ、もう21なのに。

「渋谷でたくさん見たんだ、リクルートスーツの人を。
自分とおんなじ格好した人が、あんまりたくさんいるから
僕はもういいだろうと思った。
僕はスーツで書類をもって歩かなくても
渋谷は渋谷として機能するだろうって」

「うん」

「青の稲妻っていう映画はいいよ。
ここに来る前に、最後に見た
あれが僕の青春に、一番近いと思う」

「うん」



あなたが女の子の話を書くの、
許せないって言おうとしていたの。
でも私も異性のことを書いたから立場が弱いわね。
ふふ。

夜汽車は何処の駅に着きましたか。
此処から遠いところでしょうか。

僕らの心の中には辺境がある、と村上春樹が書いています。
私の大好きな言葉です。
私の半径5メートルの、変わらない景色は何処までも続く。
何処まで行っても私は私として、あなたに手紙を書き続けるでしょう。



しまりのない文章ですが、読んでくれて有り難う。
おすすめのアメリカ文学を、是非教えてください。



ハッピーヴァレンタイン。
チョコレートを同封します。


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