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2003年06月14日(土)

授業でたまたまバレエのお話を聞く機会に恵まれた。講師はバレエ批評では(おそらく)有名な小町直美先生で、ジョルジュ・ドンという伝説のバレエダンサーのビデオを見せてくれた。

御存じの方も多いかもしれない。ドンは『ボレロ』という作品の代名詞のような人で、1992年にエイズで亡くなったという。私にとっては初めて見る彼の演技(バレエというよりもはや演劇である)、ダンスであったが、陳腐な表現を使わせて頂けば、それこそ画面に吸い寄せられるような感覚を覚えた。映像は、かつてニジンスキーが踊った『ニジンスキー神の道化』という作品の再演である。

ニジンスキーというダンサーは、この公演を最後に狂気に陥り、精神病棟で一生を過ごしたとされる。ジョルジュ・ドンも、既に自分がエイズに侵されていることを知っていた。主人公の存在と、ドンの死に向かってゆく精神の狂気がだぶって見える迫力は、たとえそれが学校のAVルームで見る数分のビデオからであってもしっかりと伝わってきた。

芸術には、私が知らない様々な物語が潜んでいる。バレエの踊りがこんなにも、人の肉体から出る悲しみや喜びや、狂気や不安を表現する手段になり得ることを、これまで全く知らなかった自分を私は恥じた。

心を震わせる新しい体験は、いつも近くに潜んでいる。しかし、一瞬の輝きに巡り合えるのはしっかりとその良さを見抜き、さらに場に居合わせることができた幸運な「観客」のみである(当然、場所は舞台の上にとどまらないだろう)。

今更知ったドンの舞台をもう生で見られないことが、私は悲しくてならない。やはり、『熊沢パンキース』には並んででもチケットを取ろう。松尾スズキに出会えたことは奇跡なのである。

*バレエに詳しい方、いらしたら何か教えてください。
私にはあまりにも縁遠い世界で、どこから入って良いのやら分かりません。

参照URL
http://jp.jorgedonn.com/index.html
http://www.shinshokan.co.jp/
http://www2a.biglobe.ne.jp/~ballet/Jindex_skip.html
『愛と哀しみのボレロ』


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