2003年06月17日(火) |
『爆笑問題のススメ』 |
に、松尾スズキ先生が出演なさいました。ご覧になった方、いらっしゃいますでしょうか。私は松尾さんが「演技」でなく(テレビも演技かな)、記者会見でもなく、他人に向かって話しているところを初めて見ました。彼のしゃべり方、普通に見える行動の端々にちらりと見える挙動不審ぶり、間を置くことなく過剰に饒舌であること。なんとなくこの私めの合コンとか面接での行動と同じにおいがしました。自意識過剰ですみません。
これがあれかね、対人関係が閉じがちな人の「公の」話し方なのかね。と、しみじみしてしまいましたが、松尾さんは人気者ですし私もお友達いっぱいだから実は全然平気です。ね!!
ああ、やっぱり私はこの人が好きです。誰が何と言おうと、松尾さんが人気者になって認知度が高まり、「ああ、あれか。サブカル好き?」的な反応が一般的になってもいつまでもこの人が好きです。胸毛、背毛、さらに指にまでめっちゃ濃い毛が生えていても、どこまでもナイーヴでフィリップを持つ手が震えている彼が好きです。
NHKラジオの『ラジオ深夜便』を聞いていたら「ナイトエッセイ」のコーナーで『新宿鮫』で有名な作家、大沢在昌が話しているのを聞きました。彼は初のヒット作にして代表作、『新宿鮫』に辿り着くまでの28作、全ての小説がことごとく売れなかったそうです。デビューしてからずっと、出す本が初版で終わってしまう、つまり重版されるほどの部数を出せない作家として「永久初版作家」などとひどい名前で呼ばれていたとか。
『新宿鮫』が生まれたのは29作目。実は彼、28作目の小説には特別な思い入れがあったといいます。つまり、作家として勝負に出た作品だったのです。「一年半の間、他の仕事も一切断って書き上げた、勿論賞も狙っていた」。しかしそれは結局の所、これまでと変わらず売れませんでした。こうなったらもうどうでもいいや、気持ちよく書こうと始めたのが『新宿鮫』だったそうです。
成功者が過去の失敗について語ると、ついつい今の成功を前提にするため傲慢になりがちですが、彼の優しく、木訥な話し方からはそういった居心地の悪さを感じさせられることがありませんでした。素敵なおじさんです。私も「そういうふうにできている」と、思いたいものです。
です、ますの語り口でここまで来たから最後までいきますね。ほとんど初めて、rockin'onを買いました(ジャパンでなく)。友達が「トム・ヨークのセルフインタビュー読んだ?自殺する人間と自分を殺したいと思う人間の違いが分かるかもよ」という意味深なメールを送ってきて以来気になって。
最近私のまわりではロッキングオンの雑誌はつまらなくなっただとか、渋洋はもうおっさんでだめ、とか色々と手厳しい意見を聞いていたのですが、正直、素直に面白かったです。これで500円は、お得としか言い様のない良い出来ではなかしら。そう思うのは私だけ?トムのセルフインタビュー(トムヨークがトムヨークに聞く)は本当に興味深いので是非どうぞ。
それにしてもここ最近、BUZZ、リトルモア、MR、オリーブと私が好きだった雑誌がことごとく潰れます。新しい娯楽の世界を掘り出さないとなあ、と感じ、本当にしおり収集を始めることにしました。ちっちゃいところに夢を託して生きていくことにします。
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