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2006年08月11日(金) トルコと東野圭吾

「俺、トルコに行く」。

ある土曜日、夕ご飯を食べていたインドカレー屋で彼が突然言いだした。

ほとんど初めての海外旅行、しかも1カ月ほど滞在予定だという。

これは大変だと思ったが、26歳の大の大人の発言を私がどうこうしようもないので、「トルコはいつだったら航空券が安いんだろう」とか「トルコとギリシアを旅行したことがある友人を知ってるから、どんな土地が聞いておくね」と色々応援の言葉を述べた。

トルコに行きたい理由は「親日のトルコの人たちにちやほやされたい」とのこと。旅行した友人も「トルコの人は優しかった」と言っていたし、これは嘘ではない気がした。

1カ月の旅行だと色々準備が必要だろうと思い、私が学生時代にアジアを旅行したときのグッズを色々掘り出してみた。電圧を変えられるコンセント、バックパック、簡易式ポット、電子辞書、海外旅行用のテレホンカードなど。私が大学2年の頃と状況は変わっているかもしれないが、役立つものもありそうだ。食べ物は、高田馬場のトルコ料理屋で予習しようと提案した。

1カ月の不在となると、連絡はどうやってとるのだろうかと不安にもなった。でも海外に行っているときくらい、日本とのつながりを絶ったほうがストレスがない気もする。こちらも心の準備を固めた。






数日後。

彼が「バナちゃん……」と私のほうをうるうるした目で見つめてきた。なんだろうと思って「どうしたの?」と聞いてみると、「僕は今……周りの人々にとても感謝しているんだ……(うるうる)」という。「はあ」。

よくよく聞いてみると、うるうるの原因は東野圭吾の『手紙』という小説であるらしい。

「僕はね、僕のことを気にかけてくれる人の、存在の素晴らしさに気づいた。自分の近くのものに文句言ってるやつが、トルコに行ったところで文句言うに決まってる。僕はトルコ行きをやめる」

というわけでトルコ行きはなしになったみたいです。





『手紙』は知らないが、東野圭吾の『白夜行』は面白い小説だった。久しぶりに引き込まれ、カレー屋で水を何杯もお替りしながら一気に読了した。背筋が寒くなる。と同時に切なくて涙が出てくる。とにもかくにも東野圭吾には、しばらく感謝しようと思っている。


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