橋本裕の日記
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2001年01月28日(日) 生命進化の遺産

 私達一人一人の肉体には、この地球上に生命が誕生して以来の三十五億年に及ぶ進化の過程が刻まれている。さらに遡れば太陽系の誕生、さらには宇宙の誕生以来の時の流れが刻まれ、集約されている。いわば我々の一人一人はこの無窮の時が創造した精緻で神秘的な芸術作品だといえよう。しかも我々の肉体は人それぞれに個性を持ち、この地上に全く同じものはない。このすばらしい肉体を私達は無償で与えられた。

 私達の肉体の健全な活動は私達のいのちの源泉であり生活の基盤である。この基盤が脅かされるとき、我々の精神も危殆に瀕する。肉体は我々の精神の器でもあり、精神的存在としての我々の人間はこの肉体という我々にとってもっとも身近でかけがいのない自然的存在によって守られている。

 我々はこの肉体によって、他の自然的存在に繋がっている。我々は肉体を養うために他の生物を我が糧としなければならない。我々は太陽や水や空気ばかりではなく、無数の動植物もしくはバクテリアによって直接的にも間接的にも生存が支えられている。

 植物は我々動物の栄養分となるだけではなく、我々の生存に必要な酸素を光合成によって供給してくれる。また石炭や石油などの化石燃料は太古に生きた生物からの貴重な遺産だ。我々が自然と呼ぶものはこうした様々な生命とその活動によって生み出されたものの総体であり、それは我々人類をも含めた共生関係の生き生きとした舞台である。

 この舞台で、いま我々人類は賢く振る舞うことが要求されている。生きとし生けるものを虐げることは、我々の生存の基盤を危うくすることに繋がる。環境問題の解決は、我々人類がこうした生きとし生けるものとの間に、いかにして豊かな共生関係を結ぶことが出来るかにかかっている。そのために我々はこの生きた自然の姿から多くを学び、その一員としてより謙虚に生きる知恵を身につけなければならない。



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