橋本裕の日記
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森首相をはじめ、最近政治家の知的水準がかなり低下している。しかし、低下しているのは、政治家ばかりではない。東大教授の野口悠紀夫さんは、最近の学生は数学と英語の学力が目に見えて衰えたと言う。高校生の学力崩壊もかなり深刻な状況になってきた。学ぼうという意欲が希薄になっている。
かって日本人の知的水準は世界のトップレベルだった。独創性には劣るものの、平均値で言えば世界の最高水準だったと思われる。しかし、現在日本人の知的水準は、おそらくかなり後退しているのではないだろうか。
ある調査によると、日本人の50歳代の読書時間は一日平均30分程度だという。つまり国民の中堅層がほとんどまともに本を読んでいない。まして他の世代はいうまでもない。日本の学生の読書時間は一日平均10分程度だという統計をかってみたことがある。つまり、限りなく0に近いのである。
日本の大学進学率は45パーセントで、これはアメリカの50パーセントとそれほど遜色はないが、問題は中身だろう。日本では大学に入るまでは一応勉強するけれど、大学に入るとほとんど勉強しなくなる。アメリカの大学は、学生をきびしく教育し、本を読ませ、遊んでいる学生は容赦なく落とす。だから、大学を卒業する頃には、完全に逆転してしまう。
国民の知的水準はどんな本がベストセラー入りするかをみればよい。日本でベストセラーになるのは、知的水準が低い娯楽品ばかりである。書店へ行けばわかるが、書架の大半をしめているのは漫画本である。あとはアダルト系のグラビア雑誌ばかり。TVはまともな知性の持ち主にはとうてい耐えきれないようなお粗末なものばかりを垂れ流している。
日本人の知性はこの先どこまで崩壊していくのだろう。なかでも科学的知識の崩壊は国の未来にとって致命的だと思われる。サイエンス系の本でベストセラー入りする本がほとんどない。サイアスの休刊が象徴するように、科学雑誌も日本では壊滅状態にある。政治家や経済人は株が下落すると大騒ぎするが、本当に憂えるべきはむしろ知的水準の下落ではないのか。
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