橋本裕の日記
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2001年02月26日(月) 無責任な経営者たち

 日本の生命保険会社が次々と破綻している。日産、東邦、第百、大正、千代田、協栄生命と続き、この先も破綻する生命保険会社が続きそうである。バブル期に高い予定利率で契約したため、逆ざやが生じて、経営が立ち行かなくなったからだという。

 これらの多くの生保は外国の保険会社に身売りする事になっている。たとえば、協栄生命は米プレデンシャルに、千代田生命は米AIGに、日産生命(現あおば生命)は仏アルテミスにという具合である。

 こうした生保の破綻処理のために生保協会は5600億を投入するという。本来は預金者に還元されるべき金がこうした処理につかわれるわけだ。公的資金も4000億円上納されるそうだから、納税者としても納得がいくかたちでなければならない。

 とくに大切なのは、こうした破綻をまねいた経営責任の追求だろう。ところが破綻処理に際して、「受け皿会社は過去の経営責任をいっさい追求しない」という免責事項が設けられているので、経営責任はうやむやにされそうだという。

 たとえばあけぼの生命(旧日産生命)の場合、300億円で譲渡されるはずだったのが、この免責事項を認めさせることで、50億円も値引きがおこなわれたという。この50億円は本来なら預金者の救済にあてられるべきだろう。それが経営破綻を招いた責任者たちの免責に使われるというのだからあきれてものがいえない。

 今日本の経営者のほとんどは50代後半から60代前半だという。そして彼らの考えることはだれも同じで、「このままあと数年頑張ってしまえば、自分の時に血を流さないですむ」ということらしい。つまり、自分だけは逃げ切り、莫大な役員報酬や退職金を手に入れようということだ。だから誰も真剣に不良債権の処理などする気がない。朝日新聞2月22日付コラムによると、これを「逃げ切り症候群」というらしい。

 一方官僚の間では「模様眺め症候群」が広がっているという。財務省の高官は「みな模様眺めを決め込んでいる。いま飛び出しても何のトクにもならないし、いまの政治指導者のだれかに入れ上げてもしょうがないから」と漏らしているという。「政治も経済もまだ悪くなる。とことん頭をぶつけないことには思い切って変革しようとする政治勢力は生まれない。まだそこまで行っていない」と、頭の良い官僚たちは考えているらしい。


橋本裕 |MAILHomePage

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