橋本裕の日記
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無理をして学校へ行ったが、大変辛い一日だった。それにしても、声を出せないというのは辛いものである。「風邪のため声が出ない」と板書した後、自習にしたが、うるさいこと。不断なら注意すれば静かになるクラスなのだが、喉が痛くて注意が出来ない。
席を立って、遊び歩く生徒。教室の床にぺたりと尻を着けて、座り込む女生徒。携帯や雑誌を見せあっている連中。我が物顔に振る舞う生徒を、横目で見ているとますます血圧が上がりそうだった。
それで、私もストーブのそばに椅子を置いて、目を閉じて、うとうとと仮眠をとることにした。生徒たちの騒ぎ立てる声を潮騒のように聴いているうちに、いつしか夢心地で一時間が終わった。
それにしても、今日はそのクラスの最後の数学の授業である。以前には、最後にみんなが「○○先生、一年間ありがとうございました」と声を揃えてあいさつしてくれたりしたが、今の生徒はそんな気配はみじんもない。
風邪で声が出ないと書けば、少しは同情して静かに自習するかと思えば、これが反対で、これ幸いとばかり傍若無人の振る舞いである。体調不良の苦しい一日であると同時に、ずいぶんと心の淋しい一日でもあった。
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