橋本裕の日記
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2001年04月10日(火) 人類史のシナリオ

 昨日は人生を春夏秋冬という四つの時期に区切る考え方を紹介した。今日はこの時代区分を人類史に当てはめてみたらどうなるのか考えてみよう。人類の歴史にも起承転結があり、四季があるのではないかと思われるからだ。

 科学は星の誕生から死に至るプロセスを明らかにした。永遠と思われていた星星でさえ、その始まりと終わりを持つ。「おごる者も久からず」とは平家物語の有名な言葉だが、人類の歴史もその誕生から死まで、栄枯盛衰を免れることはできない。そうだとすると、現在、人類はどの段階にあるのだろうか。

 私は今人類が置かれているのは「転」の段階だと思う。青年期、壮年期を過ぎて、いままさに中年期に入ったところあたりではないだろうか。狩猟生活をしていた人類が農耕生活を体験し、産業革命をへて、物質的繁栄はいまや極点に達しようとしている。まさに人類は坂を上り詰めた。

 ところが、ここへきて人類の生存を脅かすような事態が生じてきた。たとえばエネルギー問題や環境問題である。地球温暖化やダイオキシンによる環境汚染、地球の砂漠化などという問題はどれひとつとってもおろそかに出来ず、人類の未来に由々しき影を投げかけている。

 まさに人類は今や生存の危機に立たされていると言ってもよい。そしてその状況は、個人史における「中年クライシス」とよく似ている。そこで問題になっているのはいずれも「生き方の転換」である。

 人類に英知が残されているなら、この危機を乗り越えることが出来るだろう。自然を破壊し、強奪することで成り立つ繁栄には終止符を打たなければならない。価値観や生き方を変えて、自然に親和的な、精神的に豊かで実りのあるシナリオを、人類は自らの手で書かねばならない。人類史はいままさに岐路にさしかかっていて、選択のための時間はもうほとんど残されていない。


橋本裕 |MAILHomePage

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