橋本裕の日記
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2001年04月14日(土) ラクダ型人生のススメ

 人生50年の時代が終わって、人生80年の時代である。ずいぶん長生きするようになって、ライフスタイルも変わってきた。たとえば前半生と後半生で2通りの違った生き方ができるようになった。人生の山が二つ並び立つ「ラクダ型の人生」の実現である。

 会社を早く退職して、趣味や学問や宗教の世界に生きる人、あるいはNGOや市民ボランティアの世界に飛び込み世界を舞台に活躍する人々。前半生が家族を養い、生計を立てるための人生だとしたら、後半生は自分が本当にやりたかったことに打ち込み、夢を実現するための人生だ。

 私の義理の父も、55歳で会社を辞めて、その後20数年間、自宅で木彫り教室を開いている。今ではお弟子さんもずいぶん増え、名古屋市博物館で門下生の「木彫り展」を開いている。彼の場合、サラリーマン生活をしながら、木彫りを楽しんでいた。前半生は後半生へのステップ台でもあった。

 私の父の夢も、50を過ぎたら会社勤めを辞めて、田舎で山仕事をすることだった。山育ちの父にとって、都会での会社勤めは世過ぎのための姿で、本当の人生は山で生活することだと思っていたようだ。残念ながら、安い外材に押されて、日本の林業は打撃を受け、父の人生設計が狂った。

 父は66歳まで会社員を務め、病を得て67歳で他界したが、あまり幸せな晩年とは言えなかった。しかし、世が世であれば、父も希望に満ちた第二の人生を送っていたことだろう。中学生の頃から山仕事にかり出されていた私は、山仕事と聞くと蕁麻疹が出そうだったが、50歳を過ぎて、父の気持ちが分かるようになった。私自身、自然の生活に憧れを感じるのは、やはり先祖の血かもしれない。


橋本裕 |MAILHomePage

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