橋本裕の日記
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2001年05月01日(火) |
円周率論争と教育の貧困 |
小学校の新学習指導要領で、円周率が3になるという話をよく聞く。文部省の見解によると、実際には3.14で教えるが、計算上3を使ってよいということのようだ。私はこれで十分だと思っている。
地球はほぼ球体をしており、その円周は4万キロメートルである。正確には球ではないし、4万キロでもないのだが、こうして近似的に数値を捕らえる能力はとても大切である。こうした実際的な訓練を小学生の頃からしておくことは必要だ。
円周率の学習で大切なのは、どんな大きさの円でも、円周が直径の約3倍になっているということ、つまり円周と直径の比が常に同じ数(これが円周率)になっているということである。そして、そうした数が存在する不思議を考えてみることで、数学の世界の奥行きが見えてくる。
些末な知識よりも、大きな幹から、枝葉へと視点を移していくことが大切なのだが、日本人はこうした訓練をあまり受けていないので、どうしても小さいことにこだわり、大局観を見失いがちである。これは数学教育のみならず、日本の教育全般にわたる弊害だと言えよう。
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