橋本裕の日記
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2001年05月08日(火) 現代の奴隷制の恐るべき実態

 奴隷制といえば、ギリシャ・ローマ時代やアメリカの奴隷貿易がすぐに思い浮かぶ。たとえばアメリカの場合、15世紀半ばから19世紀までの奴隷貿易で、アフリカから約1200万人が積み出され、200万人近くが航海中に死亡、さらに「捕獲」から出港までにほぼ200万人の死者が出たと算定されている。

 しかし、奴隷制が最も栄えているのは、他ならぬ現代で、後世の歴史家から見れば、21世紀こそ奴隷貿易の時代だと映るかもしれない。というのも、現在世界中で毎年数百万人の子供や女性が売買されているからだ。

 たとえば先月中旬にも、西アフリカのペニンを出港した船が約100人の子供を「奴隷」として外国に売り渡そうとしているという報道が世界を駆けめぐった。どうやらこうしたことが、21世紀に入った現在でも日常茶飯事でおこなわれているらしい。

 国連の国際労働機関は、5歳から14歳の子供が年間250万人も奴隷労働下に置かれていると見積もりを出している。そして数え切れない少女や女性が売春を目的とした売買の対象になっていると警告している。最近のアメリカの研究では、国際的に取り引きされる子供や女性の数は200万人ほどだが、むしろ多くの場合、奴隷労働は国内で秘密裏に行われているという。

 奴隷制が国際的に禁止されたのは、1808年のことである。しかし、依然として奴隷貿易も奴隷制度も続いている。それはこの地上にはまだ何億もの人々が極度の貧困と飢餓状態に置かれているからだ。IT革命が進む中で、国際的経済格差はさらに広がろうとしている。こうした現代の矛盾がなくならない限り、貧しい国の子供や女性を対象にしたこうした非人道的で、悪質な商売もなくならないのだろう。


橋本裕 |MAILHomePage

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