橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
2001年05月11日(金) |
ユーゴスラビアでの人身売買 |
コソボ自治州に連行され、売春を強制された130人の女性について、国際移住機関が聞き取り調査をしたところ、被害者の平均年齢は21歳で、14歳の少女もいたという。彼女たちの出身地はモルドバが多く、ルーマニア、ブルガリアと続く。
外国での仕事を求めて、勧誘に載ったところ、売春を強要され、3分の2の女性が「性的虐待を受けた」と答えているという。何回も転売され、転売される度に価格が上がり、最終的に8万円から28万円ほどになるらしい。
勧誘するのは女が多く、しかも4割が顔見知りだという。安心して話にのると、とんでもないことになる。女性や顔見知りを使って勧誘させ、一旦手に入れると、転売しながら利ざやを稼ぐあくどい男たちの存在が背後にあるようだ。
日本にも古くから人身売買が行われていた。たとえば江戸時代、宿場町には飯盛女といわれる下級遊女たちがいた。前借金で束縛された年端もいかない娘たちに無理な勤めを強い、病気になったり客がつかなければ、食事を与えなかったり、裸にして水を浴びせたり、竹で打ったりむごい虐待を加えた。 過去帳によると、彼女たちの平均死亡年齢は22.7歳だったという。
コソボからの報告は、こうした悲惨がいまなお世界で行われていることを示している。貧困が直接の原因だろうが、その背後には「戦争」があり、共同体の崩壊による人心の荒廃という現実がある。現代の人身売買のほうが、虚無的で退廃的なのはこのためであろう。
|