橋本裕の日記
DiaryINDEX|past|will
2001年05月26日(土) |
「役人天国」日本の実態 |
公団・公社など特殊法人といえば、一口に言えば公務員の天下り団体だが、 そうした団体に補助金を出しているのが各省の特別会計である。その2001年度の特別会計予算は概算で391兆円になるという。これは一般会計の80兆円の5倍近い額である。
日本のGDPがだいたい500兆円だから、約60%が一般会計と特別会計が占めている。ソビエトばりの社会主義である。これでは日本が市場経済を中心とする資本主義経済だとはとうてい言えない。
実際のところ、特別会計の資金がどこからどう流れているのかは複雑怪奇で実態がつかめない。一般会計と違って国会の承認を得ることもなく、財務省の査定を受けることがない。各省庁に裁量が委ねられた、隠し金であるからだ。
その原資は郵便貯金や年金保険料である。特殊法人が抱える膨大な赤字を考えると、これらのお金が将来本当に必要な時に国民に返還されるのか不安になる。年金制度の破綻も懸念される。特別会計の含み損は数十兆円にのぼると言われるが、これも正確な額はわからない。
例えば郵政省の簡易保険特会からは、全国75か所の「簡保保養センター」の建設や施設運営の「赤字補填」に資金が使われるなど、特別会計が無駄使いの温床になっている。役所は自分のポケットのように考えて、一般会計では予算がとれない事業を特別会計の資金で外郭団体にやらせてきた。こうした外郭団体のなかには事実上経営破綻しているものが多く、損失は膨れあがる一方である。
これらの特殊法人が戦後復興期において、道路や橋などの社会資本整備、企業や家庭への資金供給で国民生活の向上に役割を果たしてきたことはたしかである。しかし、経済復興を果たし、世界の経済大国になった現在でも、こうした戦後復興の体制を維持し続けることは意味がない。
むしろ民業を圧迫し、市場競争の阻害、累積赤字の増大による財政破綻といった、国民生活に対するマイナス要因の方がはるかに大きくなっている。さらに、特殊法人が行政機構の実質的な肥大化をもたらしてきたことも見逃せない。
日本の国家公務員数は約84万人で、その人口に占める割合は先進諸国の中でも低い方である。ところが、官庁の仕事を「代行」する78の特殊法人には約50万人の職員がいる。さらにこれに主務大臣の認可を受けた84の認可法人や公益法人などを加えれば、その数は膨大なものになる。
政府による調査では、七十八特殊法人のうち七十六法人が天下りを受け入れ、総裁や理事長といった役員ポストのうち四割を占めているという。認可法人に関しては、八十四法人で二百七の役員ポストのうち中央省庁出身者が六割を占める。公益法人でも天下りが常態化しているというから、日本はまさに「役人天国」だと言えよう。
|