橋本裕の日記
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2001年06月01日(金) アメリカ合衆国の闇

 共和党のフォード元大統領が、信念を貫いた米国の公職者に与えられる「勇気ある人々」賞を贈られたという。そして、受賞理由が、74年にウォーターゲート事件で辞任した前任者のニクソン元大統領に恩赦を与えたということだというから驚いた。

フォード氏は元大統領を裁判にかけると政治的混乱にさらに拍車がかかると判断して、恩赦を与えたのだという。「副大統領からの昇格と取り引きした」「事件を隠蔽した」などと非難されたが、信念を貫いてニクソンを守ったことがようやく評価されて、このたびの受賞になったのだという。

 朝日新聞の三浦記者は昨日の朝刊の「地球儀」でこれを紹介し、「時代を経て、政治家の仕事を評価し直すのは、なかなか味のある、それ自体勇気ある試みかも知れない」と書いている。この賞を主宰する故ケネディ大統領図書館財団で、選考委員のエドワード・ケネディ上院議員は「私も恩赦を批判する側だったが、クリントン前大統領の弾劾騒動を経て見方が変わった」と述べている。

 法廷闘争が続けば、政争は泥沼化し、大統領と米国の威信が傷つく。フォード氏がこれを回避するために「勇気を持って」恩赦を決断したことを、今は評価すべきだということである。

 最近のアメリカは何かにつけて「国益優先」の考え方が表面に出てきている。フォード氏の受賞もそうした流れの一つだと言えそうである。しかし、私はフォード氏にこの賞を贈ったのが故ケネディ大統領図書館財団だということに、こだわりを持った。それはアメリカという国の秘められた暗黒面にかかわることなのだが、このことについて、明日の日記に書いてみようと思う。


橋本裕 |MAILHomePage

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