橋本裕の日記
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2001年06月14日(木) 金子みすヾの詩(1)

 金子みすヾという童謡詩人を知ったのは、数年前のことだと思う。書店でふと彼女の詩集を手にして、思わず次の詩に釘付けになった。

   つもった雪

   上の雪
   さむかろな。
   つめたい月がさしていて。

   下の雪
   重かろな。
   何百人ものせていて。

   中の雪
   さみしかろな。
   空も地面(じべた)もみえないで。


   日の光

   おてんと様のお使いが
   そろって空をたちました。
   みちで出会ったみなみ風、
   (何しに、どこへ。)とききました。

   ひとりは答えていいました。
   (この「明るさ」を地にまくの、
   みんながお仕事できるよう。)

   ひとりはさもさもうれしそう。
   (わたしはお花をさかせるの、
   世界をたのしくするために。)

   ひとりはやさしく、おとなしく、
   (わたしはきよいたましいの、
   のぼるそり橋かけるのよ。)

   のこったひとりはさみしそう。
   (わたしは「かげ」をつくるため、
   やっぱり一しょにまいります。)

 何という、やさしくて、さびしい詩だろう。(わたしは「かげ」をつくるため、やっぱり一しょにまいります。)に、私は心を引かれた。そして、この詩人のことを知りたいと思った。


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